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遺伝子の不都合な真実 感想 まとめ


遺伝子の不都合な真実 感想④ よりつづきます。

※私は素人なので以下は批判ではなく疑問ととっていただきたい。
※遺伝子の真実 感想①~④に記した内容に、追加したものもある。


1⃣バート事件は逆転劇ではない。

シリル・バートは別々に育てられた一卵性双生児の知能の類似性の相関性が高い値をしめすデータを公表した。
バートの死後、バート論文に疑惑がもたれた。
その後、バートのデータは正しいのではないかと考える人々もあらわれた。

このバート事件について安藤氏は「真実不明とするのが科学的な態度」とのべながら、「逆転劇」とも述べておられる。
「バート論文に疑惑がもたれたのち、バートのデータを正しいと考える人々があらわれた」ことを「逆転劇」とおっしゃっているのだろうが、
「逆転劇」といってしまうと、「バートのデータが正しいことが証明された」と言っているように聞こえて不適切ではないだろうか。

2⃣結婚するなどして別々に住んでいる一卵性双生児のデータをとるべきでは?

従って、バートのデータは破棄して新たに別々に育てられた一卵性双生児のデータをとりなおすことが望ましいのではないだろうか?
別々に育てられた一卵性双生児はなかなかみつからないかもしれないが、
結婚するなどして別々に住んでいる一卵性双生児は数多く存在しているはずだ。
そのような一卵性双生児のデータをとってみてはどうなのかと思ってしまう。
安藤氏は、そのようなデータをとっているのだろうか。

3⃣双生児法について

双生児法とは次のようなものである。

・一卵性双生児のきょうだいは遺伝子がほぼ100%同じであるが、二卵性双生児のきょうだいの遺伝子の共有度は50%である。

・行動の完全な一致を1とした場合の相関係数が一卵性0.7、二卵性0.58のとき

遺伝・・・x、共有環境・・・yとする。
0.70= x + y、0.58= 1/2 x + y
ここから遺伝の影響(x)は0.24 (24%)、共有環境の影響(y)が0.46 (46%)

同じ遺伝子と環境を共有する一卵性双生児でも、完全な一致である1には満ちていない。
その1に満たない分は、同じ環境で育ちながらも一人ひとりに固有な環境の影響、つまり非共有環境の影響を表す。

1-0.70=非共有環境
ここでは非共有環境の影響が0.30(30%)

3⃣「共有環境の影響がほとんどみられない」についての説明が不十分

行動遺伝学の3原則
①行動にはあまねく遺伝の影響がある
⓶共有環境の影響がほとんどみられない
③個人差の多くの部分が非共有環境から成り立っている
(「遺伝子の不都合な真実」77ページより引用)

そんなバカな、と思われるかもしれません。同じ脂っこいものを一緒に食べたり、間食などをさせないきちんとした食習慣を身に着けているかいないかが体重に無関係のはずはないじゃないか。もちろん関係します。しかしそのような食べ物の好みや食習慣の作り方、それ自体にも遺伝の影響が関わっているのです。環境とのかかわり方や環境からの影響の受け方自体に遺伝の影響があるから、結果的にその成果としての体重にもその影響が表れていると考えられます。これが行動遺伝学の遺伝に対する考え方なのです。(「遺伝子の不都合な真実」64pより引用)

「同じ脂っこいものを一緒に食べたり、間食などをさせないきちんとした食習慣を身に着けているか」というのは、共有環境(同じ環境で育てられたこと)の事を言っているように思える。
ところが、
「しかしそのような食べ物の好みや食習慣の作り方、それ自体にも遺伝の影響が関わっているのです。」とある。
なるほど、同じ家庭で同じ食事をしていても、兄は魚を多く食べ、弟は肉しか食べないなどというケースがあるかもしれない。
しかしきょうだいの食べ物の選択は、基本的に親が提供するものの中からしか選べない。
一卵性双生児であっても、兄はAという家庭で、弟はBという家庭で育ったと仮定しよう。
Aの家庭では煮物など和食が多く、Bの家庭では脂っこいものが多いとすれば、一卵性双生児の食習慣は大きく変わってくるだろう。
つまり同じ家庭で育てば、食べるものや食習慣が似ていて当たり前ではないかということである。

私たちはしばしば同じ環境を共有すると、同じ経験をし、同じことを学習すると考えがちです。これを錯覚であると証明したのがふたごの研究でした。それが第2章で紹介した行動遺伝学の3原則のなかの第2原則「共有環境の影響がほとんどみられない」というものです。これは同じ環境に生活する家族どうしで多くの心理学的形質の類似性が遺伝要因で説明することができ、一方で同じ環境にいながらにない傾向もまた大きいという知見から導き出された結論です。これはとりもなおさず、同じ環境のもとで同じことを学ばせているのは遺伝要因であり、一方で同じ環境のようにみえても実はひとりひとりにとってその意味が異なることを指し示しています。
(遺伝子の不都合な真実 138pより引用)

「私たちはしばしば同じ環境を共有すると、同じ経験をし、同じことを学習すると考えがちです。」とあるが、このようなことを考える人は多いだろうか。
YouTubeのコメント欄をみても、ひとつとして同じカキコミはない。
つまり同じ動画をみても感想は人それぞれ、ということではないだろうか。

そして
『「共有環境の影響がほとんどみられない」というものです。これは同じ環境に生活する家族どうしで多くの心理学的形質の類似性が遺伝要因で説明することができ、一方で同じ環境にいながらにない傾向もまた大きいという知見から導き出された結論です。』
の部分、特に『同じ環境に生活する家族どうしで多くの心理学的形質の類似性が遺伝要因で説明することができ』という部分がわからない。
具体例があげられていないからだ。

安藤氏は「共有環境の影響がほとんどみられない」ことについての説明が不足している。
そんな印象をもつ。

4⃣『一卵性双生児のきょうだいの兄に英語の勉強をさせ、弟には英語の勉強を禁じたケース』を考えてみる。

①クリケットというスポーツがない文化に育てばクリケットをする能力は全く育ちません。
(遺伝子の不都合な真実 131pより引用)

これを学業成績におきかえると、
勉強するという習慣がない文化に育てば、勉強をする能力は全く育ちません。
ということになる。

⓶一卵性双生児のきょうだいに、文法中心の教え方と会話中心の教え方でそれぞれ学習してもらったところ、文法のテストでは文法中心のクラスで学んだ子のほうが、また会話のテストでは会話中心のクラスで学んだ子の方が、それぞれおしなべて成績がよいという結果でした。
~略~
しかしこれは環境の違いが、同じ遺伝的素質に異なる高さの能力をもたらしたといえます。
(遺伝子の不都合な真実 132pより引用)

『一卵性双生児のきょうだいの兄に英語を学ばせ、弟には英語を学ぶことを禁じたケース』
について語ると、①から、
「勉強するという習慣がない文化に育てば、勉強をする能力は全く育ちません。」
と導き出されるので、次のようになるだろう。

兄は英語を勉強することができたが、弟は勉強することができなかった。
英語のテストの成績は、兄が上で弟が下。

つまり同じ遺伝子をもつ一卵性双生児であっても、環境によって学業成績の差は当然生じるということになると思う。
安藤氏はなぜこのケースについてふれなかったのだろうか。

③そうしますと本書がスポットを当てようとしている遺伝の影響はどこに行ってしまったのでしょう。
どこにも行ってはいません。それはすでにあらゆる行動の個人差の中に現れているのです。
それが行動遺伝学の3原則の第1原則「あらゆる行動は遺伝的である」が示すことでした。環境が持つ行動の意味づけ機能は、その行動自体が遺伝的な影響に導かれていることを前提としていました。環境の持つ学習機能は、それだけみると環境による行動の変容ですが、それも異なる環境に対する遺伝子たちの異なる適応の仕方ですので、そこには遺伝の影響が表れています。
(「遺伝子の不都合な真実」134pより引用)

これも『一卵性双生児のきょうだいの兄に英語を学ばせ、弟には英語を学ぶことを禁じたケース』にあてはめて考えてみよう。

一卵性双生児の兄と弟は勉強をする環境が異なっており、環境による影響はあると思われるが
ケースA「一卵性双生児きょうだいペアa」の兄は「勉強ができてうれしい」、弟は「勉強ができなくてかなしい」と考え
ケースB 別の「一卵性双生児きょうだいペアb」の兄は「勉強するのはいやだ」、弟は「勉強しなくてよくてうれしい」と考える。

ケースBのほうはどちらも成績はかわらないかもしれないが、ケースAでは成績はかわってくるだろう。

そして結論としては、やはり、同じ遺伝子をもつ一卵性双生児であっても、環境によって学業成績の差は生じるということになると思う。

その理由は安藤氏自身がこうおっしゃっているからだ。

クリケットというスポーツがない文化に育てばクリケットをする能力は全く育ちません。
(遺伝子の不都合な真実 131pより引用)

安藤氏は「共有環境の影響がほとんどみられない」というが、「共有環境の影響はある」と思われるのだが?


5⃣きょうだいは容姿・性格によって周囲から異なる接し方をされる。これは環境のちがいなのでは?

二卵性双生児は生まれたときが同じというだけで、年の違うきょうだいと遺伝子の共有度は平均すると50%でかわらない。
そのため、性質や容姿などが異なっている。
そして、その容姿の違いによって、周囲の人達の接し方が変わってくる。 

たとえば容姿の美しい姉は「かわいいね」「きれいだね」とちやほやされて育ち、普通の容姿の妹はそういう経験がなく育つなどである。

これについて安藤氏は次の様に記しておられる。

しかし、こうした要因は、そもそも子ども自身の遺伝的傾向がこうした環境を引き起こしているのではないかと考えてみる必要はあります。たとえば子ども自身がもともと遺伝的に落ち着きがなさすぎたりすると、親にとっても子育てがしにくく、結果的に親から拒絶されたり乱暴に扱われたりして、さらに問題が大きくなるということが、私たちの研究データでも示されています。(「遺伝子の不都合な真実」p143)

それはあるだろうが、Aという人に対して、全ての人が同じような態度をとるわけではない。
Aに対する接し方は、どんな母親・父親であるかによって変わってくる。
するとここで環境の差が生じるのではないだろうか。

逆に一卵性双生児の場合は「似ている」「そっくり」と言われて育つので、学力や性格も似てくるという面があるかもしれない。

6⃣地域ごとの文化の影響は、例外といえるか。

ちなみに関西人がおしなべて「ボケ」と「ツッコミ」のコミュニケーションパターンを示しやすいのは、一種の共有環境の影響ーこの場合は家族によるものではなく地域文化によるものになりますがーといえ、、共有環境の影響が少ないとする行動遺伝学お第2原則に反する例でもあります。これは後述するようにある特定の状況下における学習された「社会的ルール」、あるいは「手続き的知識」として働いているといえます)。
(「遺伝子の不都合な真実」p129より引用)

安藤氏は「大阪人のボケ・ツッコミ」を「共有環境の影響が少ないとする行動遺伝学の第2原則に反する例」といっておられるが、このような例は例外とはいえず、いくらでもあるのではないだろうか。
それぞれの地域に特有の文化があり、その影響をうけるのは、私には当然の事の様に思われる。

たとえば岩手県の人々は、辛抱強く、頑固で寡黙であるなどといわれる。
大阪・岸和田や堺の人はだんじり祭りが大好きで、会社を休んででも祭に参加する人が多い。

例が多いのであれば、「共有環境の影響が少ないとする行動遺伝学の第2原則」は本当にそういえるのか、疑ってみる必要がありそうに思える。

7⃣「行動は環境だけで決まるのではない、遺伝も影響している。」は当たり前のことではないか?

しかし行動遺伝学がみいだしてきたのは、「こういう知識やルールの有無が行動の個人差のすべてを説明するものでは決してない」ということです。
(遺伝子の不都合な真実 145pより引用)

これはつまり、「個人差には遺伝の影響がある」という当たり前のことを言っているだけである。
「個人差に遺伝の影響がない」と思っている人はそんなに多くないのではないだろうか。

私のこの発言を聞いて、私に遺伝差別論者とレッテル貼る人もいることでしょう。そしてこのようなことを平然と論ずる私のことを、軽率で不穏当だと受け止めるかもしれません。しかし考えてみてください。実は、そのような発想こそが、事実上の人種差別や集団間格差を容認し、助長していることに気が付かねばなりません。なぜなら、「もし知能に遺伝的人種差異があることがわかると差別に結びつくから、遺伝的差異はないことにしなければならない」と主張する人は、「実際に遺伝的差異があったら、自分はそれを理由に差別する」言う優生的態度に潜在的にとどまっているからです。
(遺伝子の不都合な真実 193pより引用)

これは全く意味がわからない。
「もし知能に遺伝的人種差異があることがわかると差別に結びつくから、遺伝的差異はないことにしなければならない」
と主張する人が、なぜ「実際に遺伝的差異があったら、自分はそれを理由に差別する」といえるのだろうか。

「遺伝子の不都合な真実」というのはやや大げさか、過剰に「世間は遺伝を認めようとしない」と思い込み過ぎているのではないかと思った。

8⃣環境で左右される部分を数値で示すとどうなるか。

 

上の動画は2:07までしか聞いておらず、身長を伸ばす7つの方法が正しいかどうかは検証していない。
また参考文献も示されているが、これについても確認していない。
従って、この方法を試すかどうかについては、申しわけないが自己責任ということでお願いしたい。

私がここでこの動画を持ち出したのは、次の発言が気になったからである。

0:20 身長180センチ以上にすることによって生涯年収がなんと1660万円も変わるはるって事が明らかになっています。

アメリカ心理学会の専門誌に発表されたある研究によれば、身長が1インチ(2.54cm)高くなると、年収が$789(約9万5000円)増えるという結果が出たそうだ。アメリカの大人気作家マルコム・グラッドウェルのベストセラー「Blink」で、アメリカのFortune 500企業の約半数のCEOを調べたところ、その平均身長は182cmで、アメリカの男性の平均身長175cmを約7cm上回ったという。さらに30%のCEOが187cm以上だった。冒頭のリストは財界・政界の代表的トップの身長一覧だが、確かにビッグサイズの人が多い。アメリカの歴代大統領の平均身長も180cmと一般の平均より高い。


これはアメリカのケースであって日本のケースではないが、この研究が正しければ、、身長が1インチ(2.54cm)高いと、1年で100万円、10年で1000万円、40年では4000万円の年収の差が生じるということになる。
若干大げさな数字のような気がしないでもないが、容姿によって得をするということは納得できる。

1:07あたりでは、次の数値が示されている。
将来の身長予測
男 父身長+母身長+13cm÷2
女 父身長+母身長-13cm÷2

別のネット記事には

2007年に、現在の浜松医科大学教授である緒方先生が発表した論文になります。
この論文から、こちらの身長を導き出す計算式が発表されました。
女子予測身長=(父親の身長+母親の身長−13)/2

女の子の最終身長を両親の身長から予測する計算式を紹介! より引用

とあり、信用できそうである。

1:34 2014年2ハバード大学が25万人という超大規模な研究で
身長は8割方が遺伝的な要素であり残りの2割は生まれからの環境に左右される

身長や体重など、遺伝的要因と環境的要因が相互に影響して個人の違いを生じる特徴は「多因子形質」と呼ばれます。身長は、多因子形質の中でも遺伝的な影響が強いことが知られており、欧米人の双子を用いた研究では、身長の個人差の8割程度は遺伝的要因によって生じていると報告されています注1)。

注1) Peter M. Visscher et al. Five Years of GWAS Discovery. Am. J. Hum. Genet 90, 7-24 (2012).
日本人の身長に関わる遺伝的特徴を解明―19万人の解析から日本人の身長に関わる遺伝的要因の謎に迫る― より引用

このような記事もあるので「身長は8割方が遺伝的な要素であり残りの2割は生まれからの環境に左右される」も信用してよさそうだ。

1:47 8割っていうふうに言うと「ほぼ全てじゃん」って思うかもしれませんが
この残り2割という部分はとてつもなく大きいです
身長にするとだいたい5から10センチほどのの振れ幅になりますので
先ほどの遺伝的な身長170センチのところの男の子の場合でも180センチを超える可能性は大いにあるっていうわけです。

これはどのように計算して、環境の2割を5~10cmとしたのかわからない。
しかし若干数値は違うが同様の内容を記した記事があった。

「睡眠、運動、食事、ストレスなど、環境因子による身長への影響範囲を全て足すと、男の子はプラスマイナス9cm、女の子はプラスマイナス8cmの差が出ることがわかっています。遺伝以外の要素は20%しかないですが、実は環境を整えることで10cm近く身長を伸ばせる可能性があるのです。」
https://iko-yo.net/articles/1606より引用

環境を数値化するというのはよいアイデアのように思える。

https://kodomogakkai.jp/cafe2-1.html
↑ これは安藤氏が記した記事だが、図8下にさまざまな項目の遺伝、共有環境、非共有環境の相関係数をあらわしたグラフがある。

たとえば学業成績理科(日本 小学生)のところをみると、遺伝が0.39、共有環境が0.13、非共有環境が0.48くらいにみえる。 
遺伝が0.39、共有環境が0.13、非共有環境が0.48というのは、実際の理科のテストではどのように計算されるだろうか。
算数は苦手なので間違っていたら指摘をお願いしたい。(笑)

100点満点で
遺伝による点数は39点、共有環境による点数は13点、非共有環境による点数は48点というような計算であっているだろか?

8⃣遺伝要因は変数ではないか。

そして上の動画は、もうひとつ、環境は変数ではないのか、と思わせる。
動画では身長を伸ばすのに7つの方法があるとしている。
この7つの方法が本当に身長を伸ばすのかどうか、わからないが、私たちは努力によって体形や体質を変化させることができることを知っている。

適切なダイエットをすれば肥満の人でも痩せることができる。(個人差はある。)
何もしなければなれないが、鍛えればボディビルダーのようなマッチョな体になれる。(個人差はある。)
トレーニングをつめばマラソンが走れるようになる。(個人差はある。)

安藤氏は、個人差=遺伝とするだけで、上にあげたようなことがらについて語らないが、それは事実としてある。

そして陸上競技や水泳などでは年々ワールドレコードが更新されていく。
それはなぜか。
効率のいい練習の仕方、メンタルトレーニングの方法、健康管理、シューズやウェアの機能の向上など「環境に分類されるもの」がそれに関わっていることだろう。

日本人の平均寿命は戦前は60歳程度であったのが現在では80歳以上となっている。
弥生時代の平均寿命は15歳ぐらいと考えられている。
このように寿命がのびてきたのは遺伝子が変化したというよりは、医療の進歩、衛生的で安全な環境、栄養状態など、やはり「環境に分類されるもの」によるものだと思われる。

このように考えていくとで、環境要因は変数ではないのか、という思いにぶちあたる。
環境の要因が大きくなっていくということは、環境の相関係数が大きくなるということで
それにともなって、遺伝の相関係数は小さくなっていくのではないだろうか?


遺伝子の不都合な真実 感想①
遺伝子の不都合な真実 感想⓶
遺伝子の不都合な真実 感想③
遺伝子の不都合な真実 感想④



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遺伝子の不都合な真実 感想④

遺伝子の不都合な真実 感想③ よりつづきます。

安藤寿康さんの「遺伝子の不都合な真実ーすべての能力は遺伝である(ちくま新書)」という本の感想を記します。

第5章 社会と経済の不都合な真実ー遺伝から「合理的思想」をかんがえなおす

1⃣二つの研究があるのに、ロウの研究のみをとりあげる?

行動遺伝学者のロウたちは、アメリカにおける収入の個人差について、一卵性双生児と二卵性双生児の比較ではなく、きょうだいと半きょうだい(一方の親だけが同じきょうだい)の比較によって調べました。その考え方は双生児法と同じで、遺伝的により近いきょうだいどうしが、生育環境を統制してもなお半兄弟よりも類似するとしたら、そのぶん遺伝の影響が強いと考えるわけです。
~略~
そしてその結果、収入の42%が遺伝で説明されました。それに対して共有環境の影響は8%、残る50%が非共有環境によるものでした。
~略~
また行動遺伝学者のビョルクルンドたちは、スウェーデンの双生児ときょうだいの膨大なサンプルで、より信頼性の高い収入の遺伝に関する分析をおこないました。
~略~
その結果、収入への遺伝の影響は多めに見積もって30%、少なめに見積もると20%、残りのほとんどは非共有環境という結果でした。
ロウのアメリカのデータから得られた結果に比べてビョルクルンドらのスウェーデンの結果の方が遺伝の影響が少ないのは、サンプル数が多いためにより性格な数値が見積もられたからかもしれません。あるいはまたアメリカとスウェーデンの文化の違い(たとえば福祉制度の発達したスウェーデンの方が、遺伝による貧富の違いがあらわれにくくなっているなど)なのかもしれません。
(遺伝子の不都合な真実 163~164p より引用)

図表5-1が示すように、ロウの調査では教育年数と収入の相関が0.37ありましたが、このうち遺伝が0.25(68%)、共有環境が残りの0.12となっていました。(ちなみに教育年数は遺伝によって68%が説明されました)。またIQと収入の相関は教育年数とほぼ同じく0.34あり、そのうち「0.20(59%)が遺伝で、残り0.14が共有環境で説明されました。つまり収入を説明するIQや学業達成の影響のおよそ3分の2は、遺伝要因によって媒介されているということになります。
てゃいえ、収入のなかでIQや教育年数では説明できない遺伝の割合が、収入に及ぼす遺伝要因全体の71%にもおよぶこともわかりました。ですから俗にいう頭の良さや学歴いZ街の遺伝要因(たとえば、その職業への興味や満足度、その職業特有の遺伝的素質や勤勉性や人なつこさといったパーソナリティに関わる遺伝要因など)も収入には関係しているであろうことも読み取ることができます。
(遺伝子の不都合な真実 166~167p より引用)

※図表5-1はこちらの記事の図12と同じ。
https://kodomogakkai.jp/cafe2-1.html

ここで安藤氏はロウの研究をとりあげているが、ビョルクルンドの研究についてはその後を読み進めてもでてこない。
これでは恣意的に、自説に都合のいいデータだけをとりあげたと思われても仕方なくないだろうか。

第6章 遺伝子と教育の真実ーいかに遺伝的才能を発見するか

1⃣実際に遺伝的差異があったら、自分はそれを理由に差別する?

私のこの発言を聞いて、私に遺伝差別論者とレッテル貼る人もいることでしょう。そしてこのようなことを平然と論ずる私のことを、軽率で不穏当だと受け止めるかもしれません。しかし考えてみてください。実は、そのような発想こそが、事実上の人種差別や集団間格差を容認し、助長していることに気が付かねばなりません。なぜなら、「もし知能に遺伝的人種差異があることがわかると差別に結びつくから、遺伝的差異はないことにしなければならない」と主張する人は、「実際に遺伝的差異があったら、自分はそれを理由に差別する」言う優生的態度に潜在的にとどまっているからです。
(遺伝子の不都合な真実 193pより引用)


これは全く意味がわからない。
「もし知能に遺伝的人種差異があることがわかると差別に結びつくから、遺伝的差異はないことにしなければならない」
と主張する人が、なぜ「実際に遺伝的差異があったら、自分はそれを理由に差別する」といえるのだろうか。


つづく~


遺伝子の不都合な真実 感想③

遺伝子の不都合な真実 感想⓶ よりつづきます。

安藤寿康さんの「遺伝子の不都合な真実ーすべての能力は遺伝である(ちくま新書)」という本の感想を記します。

第4章 環境の不都合な真実ー環境こそが私たちの自由を阻んでいる。

「第3章 遺伝子診断の不都合な真実―遺伝で判断される世界が訪れる」は飛ばして、第4章に進もう。

1⃣『一卵性双生児のきょうだいの兄に英語を学ばせ、弟には英語を学ぶことを禁じたケース』を考えてみると・・・

関東人からみれば、関西人のそういう行動は、「寒い1人はしゃぎ」にみえているかもしれません。これは同じ環境や文化が違うことで意味が異なってきてしまう一例です。(ちなみに関西人がおしなべて「ボケ」と「ツッコミ」のコミュニケーションパターンを示しやすいのは、一種の共有環境の影響ーこの場合は家族によるものではなく地域文化によるものになりますがーといえ、、共有環境の影響が少ないとする行動遺伝学お第2原則に反する例でもあります。これは後述するようにある特定の状況下における学習された「社会的ルール」、あるいは「手続き的知識」として働いているといえます)。
(「遺伝子の不都合な真実」p129より引用)

ここには次の二つの内容がしるされている。

①関東人からみれば、関西人のそういう行動は、「寒い1人はしゃぎ」にみえているかもしれません。これは同じ環境や文化が違うことで意味が異なってきてしまう一例です。

⓶(ちなみに関西人がおしなべて「ボケ」と「ツッコミ」のコミュニケーションパターンを示しやすいのは、一種の共有環境の影響ーこの場合は家族によるものではなく地域文化によるものになりますがーといえ、、共有環境の影響が少ないとする行動遺伝学お第2原則に反する例でもあります。これは後述するようにある特定の状況下における学習された「社会的ルール」、あるいは「手続き的知識」として働いているといえます)。

⓶に『後述するようにある特定の状況下における学習された「社会的ルール」、あるいは「手続き的知識」として働いているといえます』
とあるのだが、「社会的ルール」「手続き的知識」という言葉がでてくいるのは、144pである。

『後述するようにある特定の状況下における学習された「社会的ルール」、あるいは「手続き的知識」として働いているといえます』
という文章は()内にある、
A『ちなみに関西人がおしなべて「ボケ」と「ツッコミ」のコミュニケーションパターンを示しやすいのは、一種の共有環境の影響ーこの場合は家族によるものではなく地域文化によるものになりますがーといえ、、共有環境の影響が少ないとする行動遺伝学お第2原則に反する例でもあります。』
にかかっている。

そのあとに続く文章は、Aについてではなく、
B『関東人からみれば、関西人のそういう行動は、「寒い1人はしゃぎ」にみえているかもしれません。これは同じ環境や文化が違うことで意味が異なってきてしまう一例です。』
の説明となっている。

こうした例は身の回りに探せばたくさんあるでしょう。ゲームで賭け事をすることは、ある文化では合法的な娯楽、別の文化では非合法的な犯罪となります。
~略~
同じ賭け事好き、世話焼き好きの性向や、幻聴・幻覚を体験する素質、個性的な投球を示す遺伝子たちを持った人でも、環境が異なれば人々からあたえられる評価や反応は異なってくる。
~略~
このように環境には、行動への「意味づけ機能」があります。
(「遺伝子の不都合な真実」129~131pより引用)

冒頭の「こうした例」はB,すなわち「同じ環境や文化が違うことで意味が異なってきてしまう例。」ということだと思われる。

『環境には行動への「意味づけ機能」があります。』
という文章は、「行動の意味は環境によって変わる」を言いかえたものだといえるだろう。

賭け事が合法的な世界でなら、正々堂々とゲームに打ち込めますが、非合法ならばゲームすることをあきらめるか人の目を隠れてすることになります。そうしますとおのずとゲームで使う能力、賭け事に対する能力は異なってきます。
~略~
クリケットというスポーツがない分化に育てばクリケットをする能力は全く育ちません。
~略~
行動に及ぼす環境の影響を、この点だけでみれば、確かに人間の行動は「環境によっていかようにも変わる/変えられる」という印象をもたれるでしょう。
~略~
私たちの行った英語教育の実験では、一卵性双生児のきょうだいに、文法中心の教え方と会話中心の教え方でそれぞれ学習してもらったところ、文法のテストでは文法中心のクラスで学んだ子のほうが、また会話のテストでは会話中心のクラスで学んだ子の方が、それぞれおしなべて成績がよいという結果でした。
~略~
しかしこれは環境の違いが、同じ遺伝的素質に異なる高さの能力をもたらしたといえます。
~略~
ですから、図表4-2が示すように、行動自体が環境によって異なるといえるのです。これは環境のもつ「学習誘発機能」です。
環境にはこのように意味づけ機能と学習誘発機能があるために、行動は環境によって異なってきます。行動遺伝学の第3原則である「大きな非共有環境」の正体の多くは、これらによるものと考えられます。
(遺伝子の不都合な真実 131~133pより引用)


C『賭け事が合法的な世界でなら、正々堂々とゲームに打ち込めますが、非合法ならばゲームすることをあきらめるか人の目を隠れてすることになります。そうしますとおのずとゲームで使う能力、賭け事に対する能力は異なってきます。』

D『クリケットというスポーツがない文化に育てばクリケットをする能力は全く育ちません。』

とあるが、これを学業成績におきかえると、このように言えるのではないだろうか。

C 親が「勉強を頑張りなさい」という家庭であれば勉強に打ち込めるが、「勉強なんかしなくてもいい。それよりも家の手伝いをしなさい」と言われる家庭であれば勉強をあきらめるか、親に隠れて勉強をするようになる。

D 勉強するという習慣がない文化に育てば、勉強をする能力は全く育ちません。

これはつまり、環境によって学業成績は変わる、ということである。
ただし「勉強しなくていい、ラッキー♪」と思う子、「勉強できなくて嫌だ」と思う子など、個人差はあるだろう。

E『一卵性双生児のきょうだいに、文法中心の教え方と会話中心の教え方でそれぞれ学習してもらったところ、文法のテストでは文法中心のクラスで学んだ子のほうが、また会話のテストでは会話中心のクラスで学んだ子の方が、それぞれおしなべて成績がよいという結果でした。
~略~
しかしこれは環境の違いが、同じ遺伝的素質に異なる高さの能力をもたらしたといえます。

安藤氏は、C・DのあとにEの文章を続けているが、
『一卵性双生児のきょうだいの兄に英語を学ばせ、弟には英語を学ぶことを禁じたケース』
について語ればどうなるだろうか。
『兄は英語を勉強することができたが、弟は勉強することができなかった。』
『英語のテストの成績は、兄が上で弟が下』

になるのではないか?
つまり同じ遺伝子をもつ一卵性双生児であっても、環境によって学業成績の差は生じるということになると思う。

F 環境にはこのように意味づけ機能と学習誘発機能があるために、行動は環境によって異なってきます。行動遺伝学の第3原則である「大きな非共有環境」の正体の多くは、これらによるものと考えられます。

Fを『一卵性双生児のきょうだいの兄に英語を学ばせ、弟には英語を学ぶことを禁じたケース』にあてはめて考えると次のようになるだろう。

一卵性双生児のきょうだいの兄に英語を学ばせ、弟には英語を学ぶことを禁じた・・・環境
兄は英語を勉強することができたが、弟は勉強することができなかった。・・・・・環境によって異なった行動をとった。
                                      (大きな非共有環境)

G そうしますと本書がスポットを当てようとしている遺伝の影響はどこに行ってしまったのでしょう。
どこにも行ってはいません。それはすでにあらゆる行動の個人差の中に現れているのです。
それが行動遺伝学の3原則の第1原則「あらゆる行動は遺伝的である」が示すことでした。環境が持つ行動の意味づけ機能は、その行動自体が遺伝的な影響に導かれていることを前提としていました。環境の持つ学習機能は、それだけみると環境による行動の変容ですが、それも異なる環境に対する遺伝子たちの異なる適応の仕方ですので、そこには遺伝の影響が表れています。
(「遺伝子の不都合な真実」134pより引用)

これも『一卵性双生児のきょうだいの兄に英語を学ばせ、弟には英語を学ぶことを禁じたケース』について考えてみよう。

私は上に
『ただし「勉強しなくていい、ラッキー♪」と思う子、「勉強できなくて嫌だ」と思う子など、個人差はあるだろう。』
と書いた。

これが安藤氏のいう「行動の個人差」であり、これが「遺伝の影響」であると安藤氏は言っているのだ。

一卵性双生児の兄と弟は勉強をする環境が異なっており、環境による影響はあると思われるが
「一卵性双生児きょうだいペアa」の兄は「勉強ができてうれしい」、弟は「勉強ができなくてかなしい」と考え
別の「一卵性双生児きょうだいペアb」の兄は「勉強するのはいやだ」、弟は「勉強しなくてよくてうれしい」と考える。
そういうことだと思う。

先ほども書いたが、やはり、同じ遺伝子をもつ一卵性双生児であっても、環境によって学業成績の差は生じるということになると思う。

ところが安藤氏は『一卵性双生児のきょうだいの兄に英語を学ばせ、弟には英語を学ぶことを禁じたケース』については語らず、(双生児を用いて動物実験をすることになるので、こういう実験はできないのだろうが)
『一卵性双生児の兄には英文法中心、弟には英会話中心に学習させる』という例を持ち出して、「同じ遺伝的素質に異なる高さの能力をもたらした」といっている。

ここで安藤氏は『一卵性双生児のきょうだいの兄に英語を学ばせ、弟には英語を学ぶことを禁じたケース』について語るべきであったと思う。

2⃣遺伝の影響がないと考えている人はいるのか?

私たちはしばしば同じ環境を共有すると、同じ経験をし、同じことを学習すると考えがちです。これを錯覚であると証明したのがふたごの研究でした。
(遺伝子の不都合な真実 137pより引用)


10人の人と一緒にあるセミナーを受ければ、10人は同じ経験をし、同じことを学習したとはいえる。
しかし、受け止め方は人によって異なる。
それはYouTubeのコメント欄をよんでもわかる。

安藤氏が「同じことを学習する」とおっしゃっているのは、「同じような感想をもつ」「同じような理解の仕方をする」という意味だと思うが、
こんなことを考えている人が本当に多いのだろうか。

それが第2章で紹介した行動遺伝学の3原則のなかの第2原則「共有環境の影響がほとんどみられない」というものです。これは同じ環境に生活する家族どうしで多くの心理学的形質の類似性が遺伝要因で説明することができ、一方で同じ環境にいながらにない傾向もまた大きいという知見から導き出された結論です。これはとりもなおさず、同じ環境のもとで同じことを学ばせているのは遺伝要因であり、一方で同じ環境のようにみえても実はひとりひとりにとってその意味が異なることを指し示しています。
(遺伝子の不都合な真実 138pより引用)

この文章は『「共有環境の影響がほとんどみられない」というものです。これは同じ環境に生活する家族どうしで多くの心理学的形質の類似性が遺伝要因で説明することができ、一方で同じ環境にいながらにない傾向もまた大きいという知見から導き出された結論です。』
の部分、特に『同じ環境に生活する家族どうしで多くの心理学的形質の類似性が遺伝要因で説明することができ』という部分がわからない。
具体例があげられていないからだ。
それとも、今まで読み進めてきた中ですでに説明されているのを、私が見落としたのだろうか。

3⃣「共有環境の影響が少ないとする行動遺伝学の第2原則に反する例」は多くないか

それでは、1⃣のところで保留にしておいた、
⓶(ちなみに関西人がおしなべて「ボケ」と「ツッコミ」のコミュニケーションパターンを示しやすいのは、一種の共有環境の影響ーこの場合は家族によるものではなく地域文化によるものになりますがーといえ、、共有環境の影響が少ないとする行動遺伝学お第2原則に反する例でもあります。これは後述するようにある特定の状況下における学習された「社会的ルール」、あるいは「手続き的知識」として働いているといえます)。

に記されている「社会的ルール」、あるいは「手続き的知識」について記された箇所を読んでみよう。



もし震災によってひきおこされた経験が共有されているとしたら、このようにもともと私たちが共通の遺伝的条件(この場合はヒトという種としての条件)を共有しているからにほかなりません。
(遺伝子の不都合な真実 141pより引用)
(※安藤氏は2011年の東北大震災の際、多くの人が被災者を助けようとしたことについて語っている。)

このように共有環境の効果が表れ、同じ環境の中で同じ行動を引き起こされる背景には、実は同じ遺伝的条件があったからであると考えることができます。
(遺伝子の不都合な真実 142pより引用)

それから「孟母三遷」といわれるうように、その家族の住んでいる地域の教育レベルが影響しているという報告もあります。
しかし、こうした要因は、そもそも子供自身の遺伝的傾向がこうした環境を引き起こしているのではないかと考えてみる必要はあります。たとえば子供自身がもともと遺伝的に落ち着きがなさすぎたりすると、親にとっても子育てがしにくく、結果的に親から拒絶されたり乱暴に扱われたりして、さらに問題が大きくなるということが、私たちの研究でも示されています。しかし上に挙げた研究では、その可能性を直接間接に考慮してもなおかつ共有環境の影響があることが示されているのです。
このような共有環境の本質は「社会的ルール」あるいは「手続き的知識」として一般化されるのではないかと私は考えています。社会的ルールとは、必ずしも法律や礼儀作法に限りません。いわゆる手続き的知識とは一般に「こういう場合はこうする」という形で実際に行動として表現される知識のことです。
飲酒や喫煙、マリファナなど違法な薬物の習慣に共有環境があるのは、端的にその物質が環境の中にあるかないか、つまり家族やふたごのきょうだいのだれかひとりでもそれをもっているか、あるいは住んでいる地域や家族が関わりやすい人を通じて手にいれやすい物理的環境にいるかいないかが、かなり影響を持つからではないでしょうか。
(遺伝子の不都合な真実 143~144pより引用)

特異な家庭環境がもたらす経験、例えば虐待経験がもたらす対人へのネガティブな態度(これは好ましくない環境ですが)、お家芸、独特な歌風、家業に関わる観衆とそれによって形成される生活習慣や生活様式なども、社会的ルールや習慣を介して共有環境の効果が表れるものと考えられます。さらには大阪人らしいボケとツッコミのスキル(?)や方言、その土地にしかないものの扱い方(沖縄の人はサトウキビの食べ方、北海道の人はイカの川の向き方をみんな知っているなどといわれますが・・・・・・)のように地域制の有る習慣にも共有環境がみいだされるでしょう。

(遺伝子の不都合な真実 141pより引用)

内容をざっくりまとめて箇条書きにしてみよう。

①2011年の東北大震災のとき、多くの国民が利他性を見せた。
⓶もともと私たちが共通の遺伝的条件を共有しているため①の現象はおきた。(同じ遺伝的条件があった)
③子供自身の遺伝的傾向がこうした環境(親の態度)を引き起こしているのではないかと考えてみる必要はある。
④たとえば子供自身がもともと遺伝的に落ち着きがなさすぎたりすると、親にとっても子育てがしにくく、結果的に親から拒絶されたり乱暴に扱われたりして、さらに問題が大きくなる。
⑤④を考慮しても、なおかつ共有環境の影響があることが示されている。
⑥このような共有環境の本質は「社会的ルール」「手続き的知識」として一般化されるのではないか。
⑦社会的ルールは、法律や礼儀作法に限らない。
⑧手続き的知識とはに「こういう場合はこうする」というような知識。
⑨飲酒や喫煙、マリファナなど違法な薬物の習慣に共有環境があるのは、その物質が環境の中にあるかないかが、かなり影響を持つからではないか。
⓾お家芸、独特な歌風、家業によって形成される生活習慣や生活様式なども、社会的ルールや習慣を介して共有環境の効果が表れるのだろう。
⑪大阪人らしいボケとツッコミのスキルや方言、その土地にしかないものの扱い方、のように地域制の有る習慣にも共有環境がみいだされる。

⓶(ちなみに関西人がおしなべて「ボケ」と「ツッコミ」のコミュニケーションパターンを示しやすいのは、一種の共有環境の影響ーこの場合は家族によるものではなく地域文化によるものになりますがーといえ、、共有環境の影響が少ないとする行動遺伝学お第2原則に反する例でもあります。これは後述するようにある特定の状況下における学習された「社会的ルール」、あるいは「手続き的知識」として働いているといえます)。

とあるが、
⓶もともと私たちが共通の遺伝的条件を共有しているため①の現象はおきた。(同じ遺伝的条件があった)
は大阪人のボケ・ツッコミについてもいえるのだろうか。

大阪人の出身地は様々だと思う。
https://seniorguide.jp/article/1087450.html
上の記事によれば大阪人の出身地は、大阪59%、兵庫、外国、京都、奈良、鹿児島とある。
私も両親も大阪生まれだが、祖父(88歳)は岡山、祖母(89歳)は徳島出身である。
両親に聞いたところ、両親の友人の父母は四国、中国、九州地方出身が多いという。
おそらく昭和30年代のころの大阪人の出身地は四国、中国、九州地方などの割合が、現在よりも多かったのではないかと思う。
ということは、ボケ・ツッコミは遺伝の結果とはいえず
安藤氏もおっしゃっているように「社会的ルール」「手続き的知識」ということになるだろう。

安藤氏は「大阪人のボケ・ツッコミ」を「共有環境の影響が少ないとする行動遺伝学の第2原則に反する例」といっておられるが、このような例は例外とはいえず、いくらでもあるのではないだろうか。
たとえば岩手県の人々は、辛抱強く、頑固で寡黙であるなどといわれる。
大阪・岸和田や堺の人はだんじり祭りが大好きで、会社を休んででも祭に参加する人が多い。

例が多いのであれば、「共有環境の影響が少ないとする行動遺伝学の第2原則」は本当にそういえるのか、疑ってみる必要がありそうに思える。

しかし行動遺伝学がみいだしてきたのは、「こういう知識やルールの有無が行動の個人差のすべてを説明するものでは決してない」ということです。
(遺伝子の不都合な真実 145pより引用)

これはつまり、「個人差には遺伝の影響がある」という当たり前のことを言っているだけである。
「個人差に遺伝の影響がない」と思っている人はそんなに多くないのではないだろうか。

ある公立中学校で生徒の成績が他の公立中学校よりも際立ってよく、越境入学がたえないという中学校を知っている。
高級住宅地にあるというわけでもない。
同じような環境にありながら、一駅向こうの公立中学校は特に優秀な生徒が多いというわけではない。
これなども安藤氏のいう「社会的ルール」「手続き的知識」によって、この公立中学校に通うと周囲に影響されて成績が伸びる生徒が多いということではないだろうか。

4⃣言語性知能は遺伝だけでは決まらないのでは?

この指摘を安藤氏にすると「不都合だから真実が受け止められない」と言われそうだが、指摘しておこう。

文法を正しく運用する能力は、遺伝的に言語性知能の高い一卵性のペアでは文法中心の学び方をした方が成績が良かった場合が多かったのに足して、言語性知能の遺伝的に低いペアでは成績が似なかったり、逆に会話中心の学び方をした方が成績が良い場合が多かったのです。これは異なる遺伝的素質が、異なる環境に対して、異なった学習の成果を導いた好例と言えるでしょう。これを「遺伝・環境間交互作用」と呼びます。
(遺伝子の不都合な真実 141pより引用)

ここに、「遺伝的に言語性知能の高い一卵性のペア」「言語性知能の遺伝的に低いペア」とでてくる。
これは正しい表現といえるだろうか。

言語性知能というのはIQテストの結果を言っているのだろうか。
(私はIQテストを受けたのが小学生のときで、ほとんど覚えていないのだが)
このテスト結果がよいと「知能が高い」、テスト結果が悪いと「知能が低い」と表現するようである。
とすれば、「知能が高い」「知能が低い」という表現は問題がないと思う。
問題は、そこに「遺伝的に」という言葉をつけて「遺伝的に言語性知能の高い一卵性のペア」「言語性知能の遺伝的に低いペア」のような表現をしている点である。

これは道徳的に問題があるといっているのではない。
科学的にみて間違いではないかと私には思えるのだ。

まずIQテストは信用できない、という声がある。
次にIQテストの成績は変化するといわれている。

そして一卵性双生児の知能が似ているのは、遺伝のほかに共有環境があると考えられる。

「1⃣『一卵性双生児のきょうだいの兄に英語を学ばせ、弟には英語を学ぶことを禁じたケース』を考えてみると・・・」で書いた内容をまとめておこう。

①安藤氏:クリケットというスポーツがない文化に育てばクリケットをする能力は全く育ちません。

これを学業成績におきかえると
「勉強するという習慣がない文化に育てば、勉強をする能力は全く育ちません。」となる。

安藤氏:一卵性双生児のきょうだいに、文法中心の教え方と会話中心の教え方でそれぞれ学習してもらったところ、文法のテストでは文法中心のクラスで学んだ子のほうが、また会話のテストでは会話中心のクラスで学んだ子の方が、それぞれおしなべて成績がよいという結果でした。
~略~
しかしこれは環境の違いが、同じ遺伝的素質に異なる高さの能力をもたらしたといえます。

①から、
『兄は英語を勉強することができたが、弟は勉強することができなかった。』
『英語のテストの成績は、兄が上で弟が下』がはいいが、弟は英語のテストの成績は悪いという結果』
になると考えられる。
つまり環境によって学業成績の差は生じるということになると思う。

とすれば、IQテストによる知能の高い低いは、遺伝要素だけでなく環境要素もあるということになる。
よって、安藤氏は「遺伝的に言語性知能の高い一卵性のペア」「言語性知能の遺伝的に低いペア」のような表現をしているが、この表現は適切ではないと思えるのだ。


http://antagata.blog.fc2.com/blog-entry-432.html へつづく~

遺伝子の不都合な真実 感想⓶


遺伝子の不都合な真実 感想① よりつづきます。

安藤寿康さんの「遺伝子の不都合な真実ーすべての能力は遺伝である(ちくま新書)」という本の感想をしるす。

【第2章 教育の不都合な真実 -あらゆる行動には遺伝の影響がある】

①安藤氏は「ユダヤ人は遺伝的に劣等なのは科学的根拠がある」と言っているようにもとれる。

ひょっとしたら、読者の方々の中には、私のことを危険な優生思想の持ち主と思った方も少なくないかもしれません。かつてナチスはユダヤ人が遺伝的に劣等であるという「科学的根拠」をもとに歴史上最大の大量殺戮を行いました。この著者はいままた「科学的に」、人間に遺伝による優劣があることを納得させ、それによる差別を正当化しようという下心をもっているにちがいない、だから環境論者から犯罪者扱いされたバートを冤罪として復権を願っているだろう、と。
(「遺伝子の不都合な真実ーすべての能力は遺伝である(ちくま新書)」48ページより引用)

この文章を読んで気になるのは
『ナチスはユダヤ人が遺伝的に劣等であるという「科学的根拠」をもとに歴史上最大の大量殺戮を行いました。』
とある部分である。

「特定の民族が遺伝的に劣等」が事実であれば、差しさわりがあるとか、そういったことを考慮して認めないのではなく
事実は事実として認めることが科学的な態度であると思う。

安藤氏は意図していないかもしれないが、この書き方では、「ユダヤ人が遺伝的に劣等」ということに「科学的根拠」があるといっているようにもとれるが、
本当に「科学的根拠」があるのだろうか。
「科学的根拠がある」というのであれば、それについての説明がほしい。

また、遺伝の優劣はどうやって決めるのかという問題がある。

例えば、「頭がいい」のは優れており、「頭が悪い」のは劣っているとはいえない。
そもそも人間は多面性(運動神経のよしあし、、他人に対して親切か冷淡か、嘘をつくかつかないかなど)を持っているので、頭がいいか悪いかだけで判断することはできない。

そして頭が悪いのが悪いともいえない。頭の悪さがその人の味となって周囲を和ませる、なんてこともあるのではないだろうか。

安藤氏が『ユダヤ人が遺伝的に劣等であるという「科学的根拠」はない』あるいは、
『「科学的根拠」があるかないかわからない」と考えているのであれば、
もうすこし慎重に書いた方がいいのではないかと思った。

例えば
『ナチスはユダヤ人が遺伝的に劣等であるという「科学的根拠」があるとして(実際に科学的根拠があったのかどうかは不明)、歴史上最大の大量殺戮を行いました。』
のように。

もしかすると安藤氏は、私のような意見がでることに対して「遺伝子の不都合な真実」とおっしゃっているのかもしれない。

くりかえすが、 
『ナチスはユダヤ人が遺伝的に劣等であるという「科学的根拠」をもとに』とあるが、
本当に「ユダヤ人が遺伝的に劣等」という「科学的根拠」があるならば、こういう書き方をしても問題はない。

しかし、そうではなく、安藤氏はその「科学的根拠」を具体的に説明していないし、そもそも遺伝に優劣があるかという問題があるのにそれを無視して
「科学的根拠」があるかのように断言しているように読めてしまう点について「もう少し慎重に」と申し上げているのである。

⓶『「疑わしさ」をほのめかして』は事実というより、安藤氏の主観。

データは方法を多少替え、調査対象を多少変えても、繰り返しそういう結果を示しています。そこで、別々に育ったふたごのあるケースは同じ村の外れ同士だったとか、ある論文ではテストの方法が厳密に書かれていないので、遺伝論に都合のいい解釈がされている可能性があるとかいった「疑わしさ」をほのめかして、その議論全体に怪しい印象を与えようとする書き方には、逆にいかがわしさが感じられました。
(「遺伝子の不都合な真実」54ページより引用)

「別々に育ったふたごのあるケースは同じ村の外れ同士だった」
「テストの方法が厳密に書かれていない」
などのように疑問を持ったり、批判をすることは科学的な態度である。

ある研究に対して、上記のような疑問や批判が投げかけられたら、誠実に考えたり調査するなどして
間違っている点は正し、説明できる点は説明すればいいのではないだろうか。

安藤氏は『「疑わしさ」をほのめかして』というが、相手が『「疑わしさ」をほのめかす意図をもっているかどうか』はわからない。
単純に疑問に思ったのかもしれないし、また『「疑わしさ」をほのめかす意図』をもっていても問題があるとは思えない。
すでに書いたほうに、疑問・質問には誠実に対応すればいいだけだからだ。

批判の内容が不適切ということもあるだろうが、そうであれば
具体的な批判の内容をのべ、なぜ不適切といえるのかについて説明すればいいのではないだろうか。

つまり安藤氏の『「疑わしさ」をほのめかして』という発言は、安藤氏が『Aという人は、「疑わしさ」をほのめかしている。』と思ったということであって、それが事実であるとはいえないのだ。

③双生児法

このように一卵性(遺伝的類似性100%)と二卵性(50%)では、遺伝の類似性が2倍ちがいます。でも育った環境は同じです。ですから、もし二卵性双生児と比べて一卵性双生児が似ていたら、それは遺伝の影響によるものだと推察できるわけです。(「遺伝子の不都合な真実」p59より引用)

これについては知人が次のように教えてくれた。(ありがとうございます!)

1つの遺伝子について父がA,a 母がB,bを持っていた場合、組み合わせは,AB、Ab, aB,,abの4つ。
きょうだい間で遺伝子が一致する確率はどうなるだろうか。

一卵性双生児の場合は、兄がABならば弟もAB、兄がaBならば弟もaBで100%一致する。
生年月日の異なるきょうだいや、二卵性双生児の場合はどうなるか。

兄がABだったとする。
❶弟がABだった場合、100%の一致。
❷弟がAbだった場合、兄とAが同じなので、兄と50%の一致。
❸弟がaBだった場合、兄とBが同じなので、兄と50%の一致。
❹弟がabだった場合、兄とは全く一致しないので、一致度は0%。

❶~❹が起きる確率は等しく、4分の1だが、❷と❸はどちらも50%の一致なので、1/4+1/4=1/2となる。

きょうだい間で遺伝子が100%一致する確率は4分の1。❶
半分一致する確率が2分の1。❷+❸
全く不一致が4分の1。❹
期待値としては50%程度一致する。

ただしこれはあくまで期待値であって、
ひとつの遺伝子について、きょうだい(二卵性双生児をふくむ)間で一致する確率は0%~100%まで様々である。
ただ、平均すると50%程度と考えられると、そういうことだろうと。

この計算は「1つの遺伝子について」行ったものであり、遺伝子は2万2000個あるが、
2万2000個の遺伝子の全てにおいて、きょうだい間で遺伝子が100%一致する確率は50%なので
遺伝子全体としても、きょうだい間で遺伝子が一致する確率は50%になるということだと思う。

次に体重の相関関係をみてみましょう。一卵性は0.8、二卵性はほぼ0.4となっています。
~略~
しかしいっぽうで、個々でも一卵性と二卵性の相関係数の比は2:1、つまり遺伝子の共有度の比と同じになります。ここから考えられるのは、ふたごの体重の類似性については遺伝要因だけで説明がついてしまうということ。言い換えれば、同じ環境で育てられたことの効果、たとえば同じものを食べていることや、生活習慣を共有することからくる環境による効果を想定しなくてもよいということです。もしそのような環境の効果が十分にあるとしたら、二卵性双生児の類似性は指紋のような遺伝だけで決まる場合のように一卵性の半分程度の値にとどまらず、それ以上の類似性を示すはずです。ところがそうでないということは、体重の類似性には遺伝要因しかかかわっていないということになります。
そんなバカな、と思われるかもしれません。同じ脂っこいものを一緒に食べたり、間食などをさせないきちんとした食習慣を身に着けているかいないかが体重に無関係のはずはないじゃないか。もちろん関係します。しかしそのような食べ物の好みや食習慣の作り方、それ自体にも遺伝の影響が関わっているのです。環境とのかかわり方や環境からの影響の受け方自体に遺伝の影響があるから、結果的にその成果としての体重にもその影響が表れていると考えられます。これが行動遺伝学の遺伝に対する考え方なのです。(「遺伝子の不都合な真実」63~64pより引用)

しかし体重がすべて遺伝によって決まっているわけではありません。もしそうなら一卵性の相関係数は完全を表す「1」になるはずです。そうではなく0.8になるのは、一卵性にも体重の差異をもたらすような、きょうだいひとりひとり違った環境の影響がみられるからです。(「遺伝子の不都合な真実」
65pより引用)

そしてその後に、次の説明がある。
遺伝要因とは別に家族のメンバーを類似させる環境・・・共有環境
遺伝要因とは別に家族のメンバーを類似させる環境・・・非共有環境

まとめると、次の様になると思う。

・体重の相関関係は一卵性は0.8、二卵性はほぼ0.4(完全に一致する場合を1とし、0.8や0.4はどの程度似ているかを示す)
・一卵性と二卵性の相関係数の比は2:1、体重の相関関係(遺伝子の共有度)も2:1
・ふたごの体重の類似性については遺伝要因だけで説明がつく。同じ環境で育てられたことの効果は考えなくてよい。
一卵性の体重の相関係数は0.8なので体重の80%が遺伝、0%が共有環境、20%が非共有環境
二卵性の体重の相関係数は0.4なので体重の40%が遺伝、0%が共有環境、60%が非共有環境
という意味だと思います。

そんなバカな、と思われるかもしれません。同じ脂っこいものを一緒に食べたり、間食などをさせないきちんとした食習慣を身に着けているかいないかが体重に無関係のはずはないじゃないか。もちろん関係します。しかしそのような食べ物の好みや食習慣の作り方、それ自体にも遺伝の影響が関わっているのです。環境とのかかわり方や環境からの影響の受け方自体に遺伝の影響があるから、結果的にその成果としての体重にもその影響が表れていると考えられます。これが行動遺伝学の遺伝に対する考え方なのです。(「遺伝子の不都合な真実」64pより引用)

この部分の
「同じ脂っこいものを一緒に食べたり、間食などをさせないきちんとした食習慣を身に着けているか」というのは、共有環境(同じ環境で育てられたこと)の事を言っているように思える。
ところが、
「しかしそのような食べ物の好みや食習慣の作り方、それ自体にも遺伝の影響が関わっているのです。」とあり、何をおっしゃっているのか意味がわからない。

そうではあるが、0.4
一卵性の体重の相関係数は0.8なので体重の80%が遺伝、0%が共有環境、20%が非共有環境
二卵性の体重の相関係数は0.4なので体重の40%が遺伝、0%が共有環境、60%が非共有環境

と考えて読み進めることにする。

④共有環境の求め方

68ページに記されている共有環境の求め方の説明はつぎのようになっている。

・ふたごのIQは、一卵性は0.72、二卵性は0.42.ふたごのIQの相関係数のほうが大きいのは遺伝である。
・一卵性と二卵性の相関係数の比は2:1だった。
・一卵性の遺伝要因を0.60、二卵性の遺伝要因は0.30とすれば2:1になる。
・一卵性・・・0.72-0.60(遺伝)=0.12(共有環境)
 二卵性・・・0.42-0.30(遺伝)=0.12(共有環境)

しかし、これはネット記事 第2回「遺伝子は『不都合な真実』か?」(1)に記されている計算式を用いたほうが分かりやすいと思う。

相関係数が一卵性で0.70、二卵性で0.58のとき
一卵性【0.70=遺伝(同じ遺伝子)+共有環境】
二卵性【0.58= 1/2遺伝+共有環境】

https://kodomogakkai.jp/cafe2-2.html
で0.58、共有環境の影響は一卵性と同じ。遺伝がその類似性に及ぼす影響は、一卵性の半分。
     
遺伝をx、共有環境をy
0.70= x + y、0.58= 1/2 x + y
ここから遺伝の影響(x)は0.24 (24%)、共有環境の影響(y)が0.46 (46%)

同じ遺伝子と環境を共有する一卵性双生児でも、完全な一致である1には満ちていない。
その1に満たない分は、同じ環境で育ちながらも一人ひとりに固有な環境の影響、つまり非共有環境の影響を表す。

1-0.70=非共有環境
ここでは非共有環境の影響が0.30(30%)

⑤構造方程式モデリング 

ここでは次のような説明がされている。

・指紋、体重、IQ・・・表現型/遺伝子が発言してっ目に見えるような形になって現れたもの
          
・表現型の背後にはそれをつかさどる遺伝子のセット(遺伝子型)がある。
指紋、体重、IQのように量や程度が問題になるような表現型は「量的形質」その背後にたくさんの遺伝子のセットを装置する。(ポリジーン たくさんの遺伝子という意味)

・「遺伝」「共有環境」「非共有環境」が関わって表現型の個人差ができあがる。

この図は、ただ単にイメージ図であるだけでなく、実際にこの図に示すモデルをコンピュータプログラム上に実装させて、実際のデータを読み込んで、これに合うよう各要因の重みづけ(a2 c2 e2であらわす)を計算させることができます。それが構造方程式モデリングと呼ばれる手法です。(「遺伝子の不都合な真実」71pより引用)

ここでいう「重みづけ」とはおそらく相関係数のことをいっていると思う。
たとえば
「遺伝(a2)の相関係数0.6」+「共有環境の相関係数(c2)0.1」+「非共有環境の相関係数(e2)0.3」=1
このそれぞれの総関係数0.6、0.1、0.3などの数字を重みづけという意味ではないかと思う。

この手法ではただ重みを計算するだけでなく、そこで推定された数値がどれだけ実際の数値とマッチ(適合)しているかも、適合度指標という数値を用いて評価することができます。無理やり方程式を解いても、その答えが実際とずれているほど、適合度指標は悪くなるため、よりデータにマッチしたモデルを選び取ることができるというわけです。(72)

わかりやすく書き直すと、次のようになると思う。

a遺伝・共有環境・非共有環境の全てを考えた「フルモデル」
b共有環境が関わっていないことを仮定した「遺伝・非共有環境モデル」
c遺伝が関与していないことを仮定した「共有環境・非共有環境モデル」
abc,それぞれを計算し、適合度指標も計算される。
これによって、abcいずれのモデルが一番適合度が高いか、はっきりさせることができる。

この適合度指標というのが、どのようなものなのかが素人にはよくわからない。
また『無理やり方程式を解いても、その答えが実際とずれているほど、適合度指標は悪くなるため、よりデータにマッチしたモデルを選び取ることができる』というのも
方程式とは何か、「その答えが実際とはずれる」とは具体的にどういうことなのかがわからない。

従って、以下の文章も意味がわからない。

どのモデルでもそれぞれに遺伝と環境の相対的な寄与率の推定値が算出できるのですが、その中で一番、適合度指標が最も小さく、最も当てはまりのよいのは「遺伝・非共有環境モデル」であるという結果がでました。(73ページより引用)

そして意味が分からないまま、読み進めると、行動遺伝学の3原則として次のように記されている。

①行動にはあまねく遺伝の影響がある
⓶共有環境の影響がほとんどみられない
③個人差の多くの部分が非共有環境から成り立っている
(「遺伝子の不都合な真実」77ページより引用)

①は誰もが認めることだろう。しかし、⓶③は上記の説明では納得できないので、もうすこし素人でもわかりやすい説明が欲しいと思った。(もしかしたら私の理解力に問題があるのかもしれないが)


http://antagata.blog.fc2.com/blog-entry-429.html へつづく

遺伝子の不都合な真実 感想①

安藤寿康さんの「遺伝子の不都合な真実ーすべての能力は遺伝である」という本を読んだ。

第一章【バート事件の不都合な真実ーいかに「知能の遺伝は拒絶されたか」】

ここではバート事件について説明されている。ざっくりいうと、バート事件とは次のようなものだ。

シリル・バートは別々に育てられた一卵性双生児の知能の類似性の相関性が高い値をしめすデータを公表した。
バートの死後、バート論文に疑惑がもたれた。
同環境で育った一卵性で2カ所、血縁のない同環境で育ったきょうだいで二カ所、小数点第3位まで等しい。
バートの共著者二人の女性の名前が大学の名簿になかったなどが、その理由だった。。
1984年 BBCは「賢き男 The Intelligent Man」という番組を放送し、バートがデータを捏造したとした。
いっぽうで、バートのデータは正しいのではないかと考える人々もいて、
データの不自然な一致の一部は印刷のまちがいであるとバートが認めていることがわかり、
存在が疑問視された2人の女性共著者は所在が確認された。

これについて安藤氏は次のように記しておられる。

しかし、ここであえてバートの肩を持つ必要はないでしょう。最も科学的いとるべき態度は「真実不明」「判決不能」にとどまることだるはずです。(遺伝子の不都合な真実41ページより引用)

そうであるのに、そのあとで次のようにも記しておられる。

しかもここで紹介した逆転劇は、欧米ではすでに20年以上も前に明らかにされ、いまではインターネットでだれえもがみることのできるフリーの百科事典ウィキペディアの英語版にすら紹介されています。(遺伝子の不都合な真実46ページより引用)

アマゾンのレビューにも同様の意見があったが、安藤氏自身が「真実不明」といっておられる事件を「逆転劇」と書くのは不適切だと思う。
この書き方だと、バート事件は冤罪だったと言っているようにとれる。

なぜ安藤氏は「バート事件」について記したのか。

「遺伝子が心と行動にも影響を与える」といわれることを嫌う人たちにとって、行動遺伝学研究の「汚点」を暴くのに好都合なこの事件、その意味で「遺伝子の不都合な真実」を象徴するかのようにみえるこの事件の本質は、しかし実はまったく真逆の点にあります。それはこの捏造自体が、遺伝子を嫌う人たちによる冤罪である可能性があるということなのです。
(遺伝子の不都合な真実22ページより引用)

安藤氏は「遺伝子を嫌う人たちによる冤罪である可能性」をつよく疑っているわけだ。

「遺伝子を嫌う人たちによる冤罪である可能性がある」という文章は、単に
①バート事件は冤罪である可能性がある
といっているだけではなく、
⓶バート事件を冤罪にしたてた理由は、冤罪をしたてた人達が「遺伝子を嫌っているからではないか」
といもいっていることになる。

しかし安藤氏自身が書かれているように
最も科学的にとるべき態度は「真実不明」「判決不能」にとどまること
であるはずだ。

そして、冤罪をしたてた人達が「遺伝子を嫌っているからではないか」と考えたくなる気持ちはわかるが、
安藤氏はそれを実証していないし、実証とまではいかなくとも、強く疑われる傍証ぐらいは上げるべきだと思う。
しかしそれをやらずに、「自分がそう思った」というだけで、それを本に記すのは科学的な態度とはいえないのではないか。

http://antagata.blog.fc2.com/blog-entry-427.html へつづきます。

福島の例から、超過死亡の多さはから、「自粛による体力低下」と結論づけることはできない。


1⃣2022年の超過死亡の多さは自粛による?

記事A
日本人は「超過死亡増加」の深刻さをわかってない
科学的に合理的でないコロナ対策を続けていいのか

上の記事に次のような内容が記されている。

①2022年1~3月には約42万人が亡くなった。(厚生労働省の人口動態統計(概数))
り、死亡数は前年より約3万8000人(10%)多い。
⓶2022年1~6月までに、約77万7000人が死亡し、例年の死者数と比べた「超過死亡」は1万7000~4万6000人と推計される(共同通信)
その理由について、
・新型コロナによる直接死
・医療逼迫の影響で医療機関にアクセスできず新型コロナ以外の疾患で亡くなった
・外出抑制など生活習慣の変化に伴い持病が悪化したケース
・経済的な困窮によって自殺したケースなど間接的な影響
③2022年3月10日、英『ランセット』
アメリカ・ワシントン大学の研究チーム、2020年1月から2021年12月までの超過死亡を推定した論文を発表
日本の超過死亡数は11万1000人と推定された(確認されたコロナによる死者1万8400人の6.0倍)
この数字は、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中で最大
④・新型コロナによる直接死・・・考えにくい
・医療逼迫の影響で医療機関にアクセスできず新型コロナ以外の疾患で亡くなった・・・考えにくい
・外出抑制など生活習慣の変化に伴い持病が悪化したケース
・経済的な困窮によって自殺したケースなど間接的な影響
長期の自粛により持病を悪化させた高齢者が多かったのだろう。
⑤2021年12月、スポーツ庁は全国の小学5年生と中学2年生を対象とした2021年度の全国体力テストで、
男女とも全8種目の合計点の平均が調査開始以来最低だったと発表した。
『小中学生の体力がこれだけ落ちるのだから、高齢者の健康が害されるのもむべなるかな。』
⑥2013年4月、東京大学の研究チームはアメリカ『プロスワン』に、相双地区の介護施設の入居者を対象に避難と死亡の関係を調査した結果を発表した。
・避難した高齢者の死亡率は、被災しなかった人と比較して2.68倍も高かった。
⑦南相馬市立総合病院を受診する脳卒中の患者が62%増加
⑧福島県で被曝が原因で亡くなった人はいない。
死亡者の増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化が原因。
⑨坪倉正治氏(現福島県立医科大学教授)らが200報を超える英文論文として発表し、国際原子力機関(IAEA)などでも、坪倉教授を中心として被曝対策の見直しが進んでいる。
⓾3月の段階で、高齢者の自粛を方向転換していれば、その後の超過死亡は、ある程度予防できていたはず

私はこの記事に違和感を感じてしまった。
その違和感とは、次の2点である。

⑧福島県で被曝が原因で亡くなった人はいない。
死亡者の増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化が原因。
とあるが、具体的なストレスと生活習慣の変化とは何かについてのべられていない。

⑧福島県で被曝が原因で亡くなった人はいない。
死亡者の増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化が原因。
⓾3月の段階で、高齢者の自粛を方向転換していれば、その後の超過死亡は、ある程度予防できていたはず
のミスマッチ感だ。

「福島県の死亡者増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化」から
「新型コロナ対策の自粛が超過死亡を招いた」を導いているわけだが
「福島県の死亡者増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化」とは具体的には「自粛による体力低下」なのかどうか。
この辺りが明確に語られていないと感じた。

2⃣「原発避難した高齢者の死亡率は2.7倍」と「福島県の死亡者増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化」は同じことをいっている。

検索したところ、こんな記事が見つかった。

記事B
原発避難で死亡率2.7倍 東大など調査、環境変化影響 2013年3月27日

この記事には、次のような内容が記されている。

❶東京大の渋谷健司教授らと福島県南相馬市立総合病院のグループによれば
東京電力福島第1原発事故で避難した高齢者の1年間の死亡率は、避難前の状態と比べて2.7倍
❷食事や暖房など、生活環境の変化が死亡率を上げる要因になったとみられる。
❸準備が整わない中での避難は必ずしも最善の選択ではない可能性が示唆される。
❹米科学誌プロスワン(電子版)に掲載された。
❺福島第1原発の20~30キロ圏にある南相馬市内の5つの介護施設に入居する高齢者715人を調べた。
❻事故後1~2週間で200~300キロ以「福島県の死亡者増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化」上離れた地域に避難した328人のうち、約1年間で75人が亡くなった。
❼介護施設から避難した高齢者の死亡率は事故前5年間の入居者の1年間の平均に比べて2.7倍だった。
❽死因による分析はしていないが、避難による環境の変化とその後のケアの状態が影響していると考えられる。
❾「高齢者や要介護者にとって強制的な避難は最善の策ではなかった。食事や医療体制などの環境が整っていれば、逃げない選択肢も必要だったのではないか」(渋谷教授)
❿死亡率の変化は施設でばらつきがあり、平年時の約3~4倍に上がった施設もあったが、ほとんど変わらない施設もあった。
⓫避難距離による差はなかった。

この記事の文章を読んで、❶から❹と❺~⓫を別の内容だと勘違いする人がいた。

❶東京大の渋谷健司教授らと福島県南相馬市立総合病院のグループによれば
東京電力福島第1原発事故で避難した高齢者の1年間の死亡率は、避難前の状態と比べて2.7倍
❷食事や暖房など、生活環境の変化が死亡率を上げる要因になったとみられる。
❸準備が整わない中での避難は必ずしも最善の選択ではない可能性が示唆される。
❹米科学誌プロスワン(電子版)に掲載された。

❺福島第1原発の20~30キロ圏にある南相馬市内の5つの介護施設に入居する高齢者715人を調べた。
❻事故後1~2週間で200~300キロ以「福島県の死亡者増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化」上離れた地域に避難した328人のうち、約1年間で75人が亡くなった。
❼介護施設から避難した高齢者の死亡率は事故前5年間の入居者の1年間の平均に比べて2.7倍だった。
❽死因による分析はしていないが、避難による環境の変化とその後のケアの状態が影響していると考えられる。
❾「高齢者や要介護者にとって強制的な避難は最善の策ではなかった。食事や医療体制などの環境が整っていれば、逃げない選択肢も必要だったのではないか」(渋谷教授)
(「介護施設から避難した高齢者は、高い放射線被ばくを避けることはできたが、食事や医療体制が整わない環境になったことで死亡にいたった。」と言い換えられるだろう。)
❿死亡率の変化は施設でばらつきがあり、平年時の約3~4倍に上がった施設もあったが、ほとんど変わらない施設もあった。
⓫避難距離による差はなかった。

新聞記事などでもよく見られるように❶から❹と❺~⓫は同じことを繰り返して書いているのだと思う。

❶東京電力福島第1原発事故で避難した高齢者の1年間の死亡率は、避難前の状態と比べて2.7倍
❼介護施設から避難した高齢者の死亡率は事故前5年間の入居者の1年間の平均に比べて2.7倍だった。
死亡率の増加が、❶❼とも2.7倍で同じことからも、同じことを表現を変えて繰り返していることがわかる。

❶❼が同じものだということは、

❷食事や暖房など、生活環境の変化が死亡率を上げる要因になったとみられる。
❾「高齢者や要介護者にとって強制的な避難は最善の策ではなかった。食事や医療体制などの環境が整っていれば、逃げない選択肢も必要だったのではないか」(渋谷教授)
(「介護施設から避難した高齢者は、高い放射線被ばくを避けることはできたが、食事や医療体制が整わない環境になったことで死亡にいたった。」と言い換えられるだろう。)

も同じことの繰り返しだと考えられる。

つまり、❷の「生活環境の変化」とは
❾の「介護施設から避難した高齢者は食事や医療体制が整わない環境になった」とイコールであり
これが原因で死亡にいたったといっているのであろう。

3⃣「生活習慣の変化」から「自粛による体力低下」を導くのはミスリード

記事Aの以下の記事は、記事Bの内容とよく似ている。

記事A
⑥2013年4月、東京大学の研究チームはアメリカ『プロスワン』に、相双地区の介護施設の入居者を対象に避難と死亡の関係を調査した結果を発表した。
・避難した高齢者の死亡率は、被災しなかった人と比較して2.68倍も高かった。
⑧福島県で被曝が原因で亡くなった人はいない。
死亡者の増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化が原因。

※相双地区とは、福島県浜通り北部の相馬地方、双葉地方のことで、
相馬市・南相馬市・広野町・楢葉町・富岡町・川内村・大熊町・双葉町・浪江町・葛尾村・新地町・飯舘村が相双地区に含まれる。

記事B
東京大の渋谷健司教授らと福島県南相馬市立総合病院のグループによれば
東京電力福島第1原発事故で避難した高齢者の1年間の死亡率は、避難前の状態と比べて2.7倍
食事や暖房など、生活環境の変化が死亡率を上げる要因になったとみられる。
❹成果は27日に米科学誌プロスワン(電子版)に掲載された。
介護施設から避難した高齢者の死亡率は事故前5年間の入居者の1年間の平均に比べて2.7倍だった。
❾「高齢者や要介護者にとって強制的な避難は最善の策ではなかった。食事や医療体制などの環境が整っていれば、逃げない選択肢も必要だったのではないか」(渋谷教授)
(「介護施設から避難した高齢者は、高い放射線被ばくを避けることはできたが、食事や医療体制が整わない環境になったことで死亡にいたった。」と言い換えられるだろう。)

太字の部分はほぼ同じ内容である。

記事A/東京大学の研究チーム
記事B/東京大の渋谷健司教授らと福島県南相馬市立総合病院のグループ

記事A/2013年4月、『プロスワン』に、相双地区の介護施設の入居者を対象に避難と死亡の関係を調査した結果を発表した。
記事B/成果は27日に米科学誌プロスワン(電子版)に掲載された。米科学誌プロスワン(電子版)に掲載された。
※記事の日付は2013年3月27日なので、掲載されたのは2013年3月27日

記事A/避難した高齢者の死亡率は、被災しなかった人と比較して2.68倍も高かった。
記事B/介護施設から避難した高齢者の死亡率は事故前5年間の入居者の1年間の平均に比べて2.7倍だった。

記事A/死亡者の増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化が原因。
記事B/生活環境の変化が死亡率を上げる要因=食事や医療体制が整わない環境になったことで死亡にいたった。

どうだろう。記事Åの⑥⑧は記事Bのことをいっているのではないだろうか。

すると、記事Aの
⑧福島県で被曝が原因で亡くなった人はいない。
死亡者の増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化が原因。
⓾3月の段階で、高齢者の自粛を方向転換していれば、その後の超過死亡は、ある程度予防できていたはず

はかなりミスリードしている印象だ。

記事A/死亡者の増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化が原因。
記事B/生活環境の変化が死亡率を上げる要因=食事や医療体制が整わない環境になったことで死亡にいたった。

つまり、「介護施設から避難した人の生活習慣の変化とは、食事や医療体制が整わない環境になったこと」だと記事は言っているのだ。

しかし記事Aは「福島の死亡者の増加は原発事故後のストレスと生活習慣の変化が原因。」とし、
2022年の超過死亡の多さは、「ストレスと生活習慣の変化=自粛による体力低下」と言っているように思える。

福島の介護施設から避難した人々の死亡者の多さは「食事や医療体制が整わない環境になった」こととなのに
そこから「2022年の超過死亡の多さは自粛による体力低下」にもってくるのは、かなり無理くり感がある。

4⃣病院の患者数増加は福島の患者数増加ではない。

記事A
⑦南相馬市立総合病院を受診する脳卒中の患者が62%増加

について。

SNSで拡散される医事会計データの風評被害
南相馬市立総合病院で「原発事故後に患者数が激増している」とは言えない
澤野豊明 医師(外科・公衆衛生)

という記事がある。

南相馬市議である大山弘一氏が「南相馬市では原発事故前に比べ、成人甲状腺がんが29倍、白血病10.8倍、肺がん4.2倍に増えた」という内容のチラシを市民に配布し、
澤野医師がこれを批判する記事を書いたのである。

患者が増えている理由として次の様に説明がある。
・震災前入院ができる病院は6つ、平成29年度には入院が可能な病院が4つに減った。
(病院がへれば1病院の受け入れ患者数が増えるのはあたりまえ)
・震災後に呼吸器内科専門医が南相馬市立総合病院に赴任したため、肺がんの患者さんがより集まった。
つまり、1病院の患者数の増加=福島の病気の増加
ではないのに、さも原発事故の影響で福島で癌が増えているかのように、大山氏は拡散してしまったのである。
これは癌についてだが、当然脳卒中患者の増加についても、もちろん同じことがいえる。

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10-31(Mon)20:57|未分類 |コメント(-) |トラックバック(-)

太陽光パネルの有害物質は気になるのに、核のゴミは気にならない?

1⃣太陽光パネル義務化の問題点

小池都知事が打ち出した「太陽光パネル義務化」 中国製パネルを使用すれば人権上の問題も

上記記事に、次のような内容が記されている。

①東京都は新築物件の屋根に太陽光パネルの設置を義務付ける方針。2020年秋、関係条例改正をめざす。
⓶政府でも検討されたが見送られた。理由は「住宅価格の上昇を招く」など。
③都の試算・・・今後10年間で初期費用の回収が可能。
 国の試算・・・150万円の太陽光パネルを設置した場合、15年間で元が取れる。
④太陽光の電気は、国の制度により賦課金を上乗せした金額で買い取られる。
 各家庭は、その賦課金が乗った電気料金を徴収されている。
 2020年度の国全体の賦課金総額は2.4兆円。
 150万円の太陽光パネル代のうち、100万円は賦課金。
⑤太陽光パネルを製造する過程でCO2も出るし、公害も起きる。
⑥廃棄物の問題。
⑦人権上の問題。
中国製パネルの6割は新疆ウイグル自治区で作られている。ウイグル人を強制労働させて人件費を抑えている疑いがあり、アメリカはめ新疆ウイグルで生産されたあらゆる製品の輸入を禁止した。
⑧東京都の担当課「どこの太陽光パネルを使うかは、メーカーの判断に任せるしかない」

2⃣太陽光パネルには有害物質を含んでいるので、不法投棄が問題になりそう?

「⑥廃棄物の問題」というのは、太陽光パネルに有害物質が含まれているということだろう。

太陽光パネルは、有害物質である鉛、カドミウム、セレンなどを含んでいることから、産業廃棄物として適切に処分しなければなりません。決められた方法で廃棄しなければ法律違反となり、懲役刑や罰金が科せられることもあります。

https://www.liberal-solution.co.jp/column/?id=1616300895-266686 より引用

廃棄にお金をかけたくない人がほとんどだろうから、不法投棄などの問題は生じそうである。
言っていることは間違っているとは思わない。

3⃣太陽光パネルの有害物質は気になるのに、核のゴミは気にならないのか。

しかし原発推進派の人が太陽光パネルに含まれる有害物質を問題視するのは、おかしいような気がする。
太陽光パネルの処分は産業廃棄物として適切に処分できれば問題はないということだと思う。
(適切に処分できない可能性があるから問題なのだ、と言われそうだがw)

岸田氏「使用済み核燃料、再処理すれば期間300年」はミスリード

上記記事に次のような内容が記されている。

❶使用済み核燃料は「直接処理」と「再処理」のふたつの方法で処理される。
❷直接処理とは使用済み核燃料を、そのまま廃棄物として地中に埋める方法で、
放射能レベルが地中の天然ウラン並みに下がるのに10万年かかるといわれる。
しかし、処分場が決まらない国がほとんどである。
❸日本では「再処理」する方針で、海外の再処理工場に依頼して処理してもらったりもしているがその量はわずかである。
❹国内の再処理工場(青森県六ケ所村)は1997年に完成予定だったのに、25回も延期になって、いまだ完成していない。
❺再処理の過程でも高レベルの放射性廃液(核のごみ)がでる。
核のごみは、ガラスを混ぜて固め、地下300メートルより深くに埋設処分することが法令で定められているが
最終処分場は決まっていない。
❻岸田氏は廃棄物の処理期間は300年にできる、といっているが、そのためには高速炉が必用。
❼高速炉は、既存の原発では燃やしにくい放射性物質も核分裂させることができる。
❽高速増殖原型炉もんじゅで事故やトラブルが相次ぎ、2016年に廃炉が決まった。

どうだろう。原発から出るゴミの問題点は、太陽光パネルの不法投棄どころではないと思うのだが。

4⃣太陽光発電導入によるCO2削減量はパネル製造による排出量を上回る

「⑤太陽光パネルを製造する過程でCO2も出るし、公害も起きる。」
については、次のような記事があった。

【国際】太陽光発電導入によるCO2削減量はパネル製造による排出量を上回る。ユトレヒト大学 2017/01/07最新ニュース

上記記事をまとめる。

①オランダのユトレヒト大学のウィルフリート・ファン・サーク准教授らのグループの過去40年間(1975年~2015年)
の調査
太陽光発電パネルで発電により節約されたエネルギー>太陽光パネルの製造に使用されたエネルギー
⓶太陽光発電の導入発電設備容量が2倍になるごとに、
パネル製造に使われるエネルギーは多結晶パネルで12%、単結晶パネルで13%減少
二酸化炭素排出量も多結晶パネルで17%、単結晶パネルで24%削減
③生産コスト
1970年代1ワット当たり75ユーロ→2015年1ユーロ以下
④2014年末に太陽光発電利用による二酸化炭素削減量は生産時における排出量に並び、現時点では上回っている。
⑤全電力供給量の1.5%分。二酸化炭素削減効果は170Mt。
⑥太陽光パネルの主要素材であるシリコンウエハーの薄型化、ウエハー切断工程の効率化、廃棄量削減、電気の取り出し口となる銀電極の銀使用料削減などが期待される。


1からわかる!核のゴミ(1)そもそもどんなものなの?
↑ この記事も参考になると思う。




原発のリスクは地方に押し付けられている。都市部はリスクを背負っていない。※追記あり


1⃣原発事故の実情

原発事故は事故がおこると大勢の人が被曝して癌になったり、居住できなくなったり、廃炉にも時間がかかる。
福島原発事故の処理完了には最大40年かかるといわれている。

参照/福島原発事故から10年 なお残る影響

福島県では,原発事故のため,福島第一原発から半径20キロ圏内が避難指示区域に設定された影響などから,沿岸部における行方不明者の捜索が大幅に遅れることとなった。
「福島県は行方不明者数が死者数の3倍以上と,近隣の宮城県など他の被災県に比べ際だって多い。放射線量が高く捜索が進まないためで,20キロ圏内はがれきも手つかずの状態となっている。避難している住民からは『せめて遺体の収容を早くしてほしい』という強い要望が出ていた。(2011年4月7日毎日新聞)」という状況であった。

放射能による人権侵害の根絶をめざして より引用

(これは原発事故の影響で放射線量が高く立ち入れないため、多くの救えるはずの命を救えなかったということではないのだろうか?)

チェルノブイリ原発事故の死者数は33人で、被曝によって癌になった人の数については様々な推計がなされているが
京都大学原子炉実験所(現・京都大学複合原子力科学研究所)の今中哲二さんは、2万人から6万人が妥当との見解を示している。
クライナのチェルノブイリ連合 は、現在までの事故による死亡者数を約73万4,000人と見積もるなど、様々。

2⃣国や電力会社は残余のリスクを認めている。

福島原発事故は11年も前のことである。現在の安全対策は進歩したので事故はおこらないだろうか。
そんなことはない。

前回の記事 電力会社が原発を「やばい」と思わない理由&原発は本当に安いのか?
でも述べたように、国や電力会社は原発には残余のリスクが伴うことは認めている。

そして、それでも原発にはメリットがあるので原発を稼働するべきという記事があった。
そのメリットとは「CO2削減」である。

では、なぜ私たちは残留リスクを容認しなければならないのか。
それは、こうした施設が残留リスクを上回る便益を社会に提供しているからだ。例えば、原発の場合、日本のエネルギー安全保障に貢献するだけでなく、音節効果ガスを排出せずに電力を供給できる。
https://criepi.denken.or.jp/jp/nrrc/intro/pdf/act/150827presentation.pdf より引用


3⃣関西電力は残余のリスクを認めている。

関西電力のHPには、ここに残余のリスクについて触れられている部分があるかどうか調べてみた。

周辺地域の皆さまなどにおける放射線被ばくを低減する防護措置の基準は、万が一、原子力発電所で事故が発生した場合に、速やかに屋内退避や避難等の判断・指示ができるよう、あらかじめ設定されています。具体的な防護措置実施の判断は、事故の状況に応じて原子力規制委員会が行い、その指示は国の災害対策本部が行います。
https://www.kepco.co.jp/energy_supply/energy/nuclear_power/anzenkakuho/taisaku/support.html より引用

ここでは残余のリスクがあるとは記されてはいないが、万が一事故が起こった場合の対策について一応述べられている。
これは、関西電力が「事故がおこりうる」と言っているのと同じだと思う。

4⃣原発事故がおこって琵琶湖が汚染されたらどうするのか?

関西電力は残余のリスクを認め、万が一事故が起こった場合の対策について述べているが、
ここに琵琶湖の水が汚染されたらどうするのか、ということは述べられていない。
ネットを調べてみたが、これについては多くの人が心配して自治体に質問をよせている。

琵琶湖の代替水源を検討 関西広域連合、原子力防災計画 という2011年の古い記事はあるが、その後どうなったのかという記事はみつからない。

5⃣原発事故でどの程度の事故が起こり得るのか?

ある人が「原発事故の怖さはどこまでエスカレートするかわからないところ」と言っておられた。
実際、原発の事故で、どの程度の事故が起こり得るのだろうか。
国や電力会社には、残余のリスクがあるというだけでなく、それを示してほしいと思う。

6⃣残余のリスクは地方に押し付けられている。都市部はリスクを背負っていない。

残余のリスクがある原発は都市部には作られていない。
つまり、残余のリスクを地方におしつけている形だ。

「補助金をもらっているじゃないか」と言う意見もあるが、
補助金をもらっているのだから、「被曝は覚悟するべき」というのはあまりに乱暴であるように思える。

また、今でこそ残余のリスクはあると認められているが、福島第一原発事故がおこるまで、原発は絶対安全といわれていたのだから、原発のある自治体はだまされたといえるのではないだろうか。

参照/原発動かなければ交付金約4億円減 安全検証中の新潟県
なぜ原発の安全神話は生まれたのか

7⃣原発は地域差別を産む。

東京2020オリンピック競技大会の聖火リレーが被災地福島からスタートします。東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故から9年がたちましたが、いまだに、被災者に対するいやがらせやいじめ等がなくなっていません。特に、福島第一原発事故に伴う風評に基づく偏見、差別が今なお続いており、中には、同事故にからめて東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会をやゆするような悪意に満ちた誹謗中傷すら起きています。

https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00008.html より引用

原発の残余のリスクを考えずに(知らないのか?)、原発は安全だと言う人がいるが
都市部に住んでいて「原発は安全」だとか、「原発稼働するべき」と言っても説得力がない。

原発推進派の人に「原発の隣に住めるのか」と聞いたら答えなかった。
原発を本当に安全だと思っていたら「住める」と答えられるはずだ。


※追記 このぐらいの規模の事故が起こり得るのではないかとして、チェルノブイリ原発事故の記事を紹介していただいたので、この記事に記されたチェルノブイリ原発事故の概要を記しておきたいと思う。

①1986年にチェルノブイリの原子力発電所が爆発
⓶初動の救急隊、急性放射線症候群134人。28人が数カ月以内に死亡。その後少なくとも19人が死亡。
③立ち入り禁止区域は現在(2019年)、ウクライナやベラルーシまで広がっている。その広さは4000平方キロメートル以上。(ロンドンの2倍以上。正方形とすれば一辺が63km。大阪市から滋賀県守山市あたりまでが約63km)
④原発から半径30キロメートル以内に避難指示。(大阪市から京都府八幡市あたりまでが約30km)
立ち入り禁止だが、小さな『ホットスポット』が目立つ。
⑤約5000件の甲状腺がん症例(そのほとんどが治療によって治った)が、原発事故による汚染が原因。
(汚染された牛乳がこ販売された。)
⑥ヨード(ヨウ素)欠乏症。
⑦原発事故によるがんの発症数は確定されない。
⑧メンタルヘルスに悪影響。

参照/https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-47248881






安易に他人をストーカーよばわりするのはやめたほうがいいと思う理由。

1⃣コメントに返信したらストーカー呼ばわり


ネットの掲示板にコメントしたところ、返信が10個程度つくことはよくあることだ。
これはコミュニケーションといえる。
会社でも学校でも過程でも、言葉によるコミュニケーションを行っている。
ネットではそれが文字になっているにすぎない。
もちろん、ネットでは公の目にふれるということは意識しておかなければならない。

ところが、そのようなコメントの返信に対して
「ストーカー行為は犯罪」
だとか
「行為を繰り返すことをストーカーという」
などのように返信するケースを時々見かける。

はあ? なんでコメントに返信したらストーカー行為で犯罪なんだ?


2⃣ウィキペディアには確かにそう書いてあるけれど


つきまとい行為をする人をストーカー(英: stalker)という。特定の人につきまとうことは違法である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC

より引用


ウィキペディアには確かにそう書いてある。



3⃣身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われた場合に限る。


しかし、実際のストーカー規制法では、もっと意味が限定されている。


警視庁のストーカー規制法についての記事をまとめてみよう。


①規制の対象となるのは「つきまとい等」「ストーカー行為」
⓶特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、その特定の者又はその家族等に対して行う以下のアからクを「つきまとい等」と規定し、規制する。



ア つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき等
イ 監視していると告げる行為
ウ 面会や交際の要求
エ 乱暴な言動
オ 無言電話、拒否後の連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNSメッセージ・文書等

カ 汚物等の送付
キ 名誉を傷つける
ク 性的しゅう恥心の侵害
③同一の者に対し「つきまとい等」を繰り返して行うことを「ストーカー行為」と規定して、罰則を設けている。
④ただしア~オまでの行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われた場合に限る。


参照/https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/higai/dv/kiseho.html


4⃣ケースバイケースで対処できるように曖昧な定義になっているのでは

ア つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき等
イ 監視していると告げる行為
ウ 面会や交際の要求
エ 乱暴な言動
オ 無言電話、拒否後の連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNSメッセージ・文書等


これらの行為について、
「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われた場合に限る。」というのは抽象的だが、このような一文をいれておく必要はあると思う。


なぜならば、
学校の廊下で好きな女の子を待ち伏せ(ア)
「君の事が気になってしかたないんだ」(イ)
「つきあってくれないかな」(ウ)
「えっ、つきあってくれないの!」(エ)
「もう一度僕とつきあうことを考えてみてくれないか」(オ)


のような少女漫画にありがちなストーリー。
これが犯罪になったとすると、少年は少女に告白することすらできなくなり
青春が無味乾燥なものになってしまう。


何事も限度があり、極端に解釈するべきではないと思うのだ。


これは想像だが、一つ一つの事案は異なるため、ケースバイケースで対応できるように、曖昧な定義にしてあるのではないだろうか。

5⃣恋愛感情等が絡まないつきまとい行為は、ストーカー規制法による取り締まり対象ではない


ストーカー規制法による取り締まりの対象は、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足すること」を目的とした行為に限られます。「別れた相手とヨリを戻したい」「片思いの相手に振り向いてもらいたい」などの目的があって、「つきまとい行為」を行うケースが典型的です。

したがって、恋愛感情等が絡まないつきまとい行為は、ストーカー規制法による取り締まり対象ではないといえます。
ただし、軽犯罪法上の「迷惑な追随行為」(1条28号)として、あるいは各都道府県で設置されている迷惑防止条例の「反復した付きまとい等の禁止」違反によって取り締まりを受けることがあります。


https://sakai.vbest.jp/columns/criminal/g_sex/1206/ より引用


こちらの記事では、「恋愛感情等が絡まないつきまとい行為は、ストーカー規制法による取り締まり対象ではない」と明記されている。


よくよむと、さきほどのウィキペディアにもこう記してある。


ストーカー規制法では恋愛感情を前提としたつきまとい行為を想定しており恋愛感情と関係ないストーカー行為は規制できない。


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC#%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E8%A6%8F%E5%88%B6%E6%B3%95


より引用


6⃣恋愛感情のからまないストーカー行為は、迷惑防止条例で規制されている。


恋愛感情のからまないストーカー行為は、迷惑防止条例などで規制されているようだ。


 2018年7月1日、迷惑防止条例の一部が改正され、恋愛感情以外の悪意の感情等に基づくストーカー行為も規制対象となる。


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%B7%E6%83%91%E9%98%B2%E6%AD%A2%E6%9D%A1%E4%BE%8B#%E8%84%9A%E6%B3%A8 より引用



7⃣ネットの反論はストーカー行為ではない。


直接弁護士さんに確認したが、ネットで反論することはストーカーではないという返事をいただいた。
ちょっとした忠告や、指導、まちがいの指摘なども数回繰り返したところで、ストーカーとはいえないということだろう。


反論されるとムカッとくるというのはわかるのだが、安易にストーカーなどといわないで
冷静かつ論理的に言い返すか、スルーするなどしたほうがよいと思う。


逆に他人をストーカーと犯罪者のようにののしることは、侮辱罪などに該当しそうにも思えるので。


実際には、費用もかかることだし、そこまでに至らないケースがほとんどだとは思うが


侮辱罪は、犯罪行為に該当するかに関わらず、成立しうるそうである。



電力会社が原発を「やばい」と思わない理由&原発は本当に安いのか?


1⃣「事故がおこったら、電気料金あげればいい。」という考え方では事故はなくならない。

「10月から"こっそり"と電気料金に上乗せされた原発賠償金=編集部」2021年11月1日

上記記事に次のような内容の記事が記されている。

①2021年10月から電気料金に福島第1原発事故の「賠償負担金」「廃炉円滑化負担金」が上乗せされた。
⓶「賠償負担金」は、福島原発事故によって、足りなくなった賠償措置額(電力会社が原発事故賠償に備えて準備しておく資金)の不足分を、電気の消費者(国民)に負担させるもの。不足額は2・4兆円。
③「廃炉円滑化負担金」は、廃炉コストの一部を国民に負担させる。負担額は4740億円だ。
④電力各社で経営状況が異なるため、実際の各家庭への電気料金請求では、値上げをせずに済む電力会社もある。
⑤値上げ予定の電力会社は、東北、関西、四国、九州電力の4社。

関西電力 託送料金相当額とは何ですか?

上の記事にはこのような内容が記されている。

①託送料金相当額とは、電気料金に含まれるネットワーク利用相当分のこと
⓶ご請求金額には、法律で定められた賠償負担金相当額及び廃炉円滑化負担金相当額を含んでいる。

単価表は2021年10月1日以降となっているので、やはり値上げしたようである。

9月に値上げした電力・ガス料金。どれくらい上がった?

東京電力が6960円→138円上がって7098円
中部電力が6615円→132円上がって6747円
関西電力が6740円→86円上がって6826円

「⑤値上げ予定の電力会社は、東北、関西、四国、九州電力の4社。」とあるが、東京電力も値上げしている。
値上げ分の中に、「賠償負担金」「廃炉円滑化負担金」は入っていないのかもしれないが。

衆議院議員 河野太郎公式サイト 「原発は安くない!?」2016.11.12

この記事の中で河野さんはこうおっしゃっている。

①福島第一原発の廃炉費用に関しては、東京電力が負担。
⓶除染した土などの中間貯蔵の費用は国が負担する
③賠償の費用は原子力発電所を保有する電力会社が負担することになっているが、経産省は託送料金を使って
新電力にも負担させようと画策している。
④本来、この賠償の負担は、電力会社の利益から出すべき。
事故を起こして支払わなければならなくなった賠償金を、ほかの消費者からとろうとする企業はない。
(経産省と電力会社は、託送料金で消費者からとろうとしている。)
⑤例えば再生可能エネルギーの賦課金は、きちんと明確に金額を示し、年限をきっている。
⑥各電力会社の持つ原発の廃炉問題がある。

「④賠償の負担は、電力会社の利益から出すべき。」というのは全くそのとおりである。
「事故がおこったら、電気料金あげればいい。」
そんな考え方を通用させるから、原発の安全性について真剣に考えなくなるのだろう。

2⃣原発は安いエネルギーとはいえない。

また、河野太郎氏は上記記事で次のようにもおっしゃっている。

⑦経産省は、原発の発電コストは一番安いと称して、OECD/NEAの資料を出してきた。
その資料のもとに当たると、割引率3%では原発が石炭や天然ガスよりも安いが、割引率10%だと一番高くなると、最初に書いてある。
経産省は、その中から、割引率3%のところだけ写して出してきた。

※割引率
 割引率とは、長期的な投資効率を評価する等の目的で、将来の金銭的価値を現在の価値に割り引く(換算する)際に用いる利率を1年あたりの割合 として示したもの。
割引率が高い場合、燃料費の比率が高く将来発生するコ ストの割合が高い電源(一般的には、火力>原子力>水力)ほど、現在価値 としての発電単価は小さくなる。
 割引率は、経済情勢や評価の目的により変わりうることから、割引率を幅広く設定し、0%、1%、3%、5%の4通りの試算を示した。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1077637405?query=%E5%8E%9F%E7%99%BA%20%E5%89%B2%E5%BC%95%E7%8E%87%E3%81%A8%E3%81%AF より引用

割引率とは経済学の専門用語のようである。
恥ずかしながら、説明文を読んでもよく理解できないが、割引率の設定によって火力・原子力・水力などの発電の単価は変わってくるということである。

「原発の電気は安いのか?(前編)」

①発電コストは条件次第であって、単純に「安い」「高い」とはいえない。
⓶原子力が安い電源として国民に貢献するには、ファイナンスコストの抑制を可能にする制度設計、高い稼働率の確保が可能になるような規制および事業者双方の合理化・効率化の努力など、広範な条件整備が必要。
③原子力の安全性について、どんなに安全対策を講じたとしても残余のリスクは存在することの説明を省いた。
④コストについても単純に「原発の電気は安い」と説明してきたことが国民を大きく混乱させている。

「原発の電気は安いのか?(前編)」※同じ筆者による同じタイトルの記事が2つある。

①原子力発電所の運転期間が40年、特別点検を受けて延長したとしても60年に制限されている。
⓶新設あるいはリプレース(建替え)がなければ、わが国から原子力発電事業がなくなることは明らか。
③・福島の再生・復興
・発電所の安全性に一義的な責任を負う事業者が自主的かつ不断の取組みを続ける仕組みを構築すること
・それでも万一事故が起きたときに備え原子力損害賠償法や原子力防災を充実させること
これらは取組みの途上。
・廃棄物の処理を含む核燃料サイクル政策の動向も不透明
④今世紀半ばには温室効果ガスの8割減を目指すという政府方針も踏まえれば、原子力発電所の必要性を否定できない。
⑤発電コストの比較方法
試算方法にはいくつか選択肢がある。
今後稼働を開始するプラントの発電単価を評価するには「モデルプラント方式」が適している
モデルプラント方式とは、ある年に発電所を新設すると仮定して、その発電所の設計、建設から運用、廃止までのすべてのコストを、その発電所が生涯の間に発電するであろう総発電電力量で除して、1kWhあたりのコストを算出するもの
⑥原子力は、何をコストとして計上すべきか議論が行われた。
その結果、資本費・運転維持費・核燃料サイクル費用・東京電力福島原子力発電所事故を受けた追加的安全対策費・事故リスクへの対応費用・国が負担する立地交付金・研究開発コストも加味される。
⑦原子力については明確に算出できないコストもまだ多いため下限として提示されていることには留意が必要。
⑧2030年の長期需給見通しでは原子力の電気が一番安い。
⑨メディアは「原子力事故リスク対応費用の見積もりが不十分」、「バックエンドコストについては見通せない部分がある」と指摘。
⑩原子力のコストに大きな影響を与える重要な要素は、割引率と稼働率。
2014年モデルプラントは、
割引率3%、稼働率70%で計算すれば、10.1円/kWh
割引率を5%にすれば11.1円~/kWh
割引率5%で稼働率60%に低下した場合には、12.5円~/kWh
⑪正確に答えるならば、「原発は、安い電気を供給する可能性のある電源である」
⑫割引率が10%程度になれば、それが最も大きな影響を与える要素であることが示されている。


3⃣「世界一厳しい規制基準」は新たな安全神話

2⃣ 「原発の電気は安いのか?(前編)」

③原子力の安全性について、どんなに安全対策を講じたとしても残余のリスクは存在することの説明を省いた。

とあるが、この「残余のリスク」については次のように説明されている。

残余のリスク

①平成18年9月19日に原子力安全委員会において決定された「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の中で説明がある。
⓶策定された地震動を上回る地震動の影響が施設に及ぶことにより,施設に重大な損傷事象が発生すること、
施設から大量の放射性物質が放散される事象が発生すること、あるいはそれらの結果として周辺公衆に対して放射線被ばくによる災害を及ぼすことのリスク
③ 旧指針においては,基準地震動に関し,S1 および S2 の2種類を策定することとされていた。
④改訂された耐震設計審査指針では,2つの基準地震動の策定方針を統合し,基準地震動 SS として,検討用地震の選定,地震動評価について高度化を図っている。
⑤基準地震動 SS は,敷地ごとに震源を特定する地震動と震源を特定せず策定する地震動に大別されている。
敷地ごとに震源を特定して策定する地震動としては,後期更新世以降の活動が否定できない敷地周辺の活断層をもとに,その性質,過去および現在の地震発生状況等を考慮し,さらに地震発生様式等による地震の分類を行ったうえで敷地に大きな影響を与えると予想される地震を,複数選定することとされている。
⑥「残余のリスク」とは,このようにして策定された地震動に対し,地震学的見地からそれを上回る強さの地震動が生起する可能性を否定できないとの認識に立ったもの。
⑦改訂された耐震審査指針では,この「残余のリスク」の存在を十分認識しつつ,それを合理的に実行可能な限り小さくするための努力が払われるべきである,とされている。
⑧ 「残余のリスク」の概念の導入意義
「残余のリスク」を評価するための地震 PSA 技術の現状をもとにリスク指標を評価し,それを担保することで安全性に関する透明性を保証する。
⑨改訂指針案では,「残余のリスク」の定量的評価の結果を設置許可申請の段階で提示するとの規定にはなっていない。
⑩原子力安全委員会としては,安全審査とは別に,行政庁において,「残余のリスク」に関する定量的評価を実施することを原子炉設置者に求め,その確認をすることが重要である,としている。

「原発の電気は安いのか?(前編)」という記事では、この説明を省いた、といっているのである。
文章に主語がないが、主語は国または電力会社、原子力安全委員会などだろう。

つまりきちんとした説明をせずに、「世界一厳しい規制基準」をもうけているから、原子力発電は安全ですよ、と言っているわけで
「世界一厳しい規制基準」は新たな安全神話というべきである。

エネルギー安全保障の観点から、「原発は必要、安定した電力が供給できなくなったら死者がでる」
と言うような意見があるが、その原発が「残余のリスク」を抱えていることについても十分考えた方がいいと思う。



住宅の耐震設計は5115ガルなのに、原発の耐震設計は1000ガル。

原発は震度7で壊れる。
↑ この記事の続きです。

1⃣ガルは「1秒で何センチの速さの変化を生じるか」をあらわす。

「ガル」は地震動の大きさを「加速度」で表したもので1秒につき毎秒1cmの速さの変化を生ずる加速度をいい、https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/kentiku/machizukuri/sumai/taishin/shindan/kisochishiki.html
より引用

1 Gal = 0.01 m/s2 = 1 cm/s2 

加速度ってよくわからないが(汗・・・間違っていれば指摘してください。)、
1ガルの場合は、1秒後に1cm/sうごき、2秒後だと2cm/s、3秒後は3cm/sのように速さが変化するということだと思う。
ただ、地震の場合は、瞬間的にどのくらい動くのかということをとらえておけばいいのではないだろうか。

 1923年 関東大震災         300~400ガル
 1995年 阪神淡路大震災       600~800ガル
 2004年 新潟中越地震        2,516ガル (川口町の地震計)
 2008年 岩手・宮城内陸地震      4,022ガル (厳美町) 世界最高記録
 2011年 東日本大震災        2,933ガル
 2016年 熊本地震          1800ガル

※4022ガルというと、1秒で40m以上も動いたということになるが、瞬間的な速さであって、それが1秒も続くということではないらしい。

2⃣周期は揺れが一往復するのに要する時間

揺れが1往復するのに要する時間のことを周期という。
10の0乗が1秒、10の1乗は10秒、10の2乗は100秒、10のマイナス1乗は0.1秒、10のマイナス2乗は0.01秒である。

3⃣周期・加速度・震度の関係

period_acc1.png


上記は気象庁の記事にある、周期および加速度と震度(理論値)の関係(均一な周期の振動が数秒間継続した場合)
を示したグラフである。

計測震度は地震波の加速度・周期・継続時間というパラメータをもとに決められる。

震度 7 とは「どういうもの」なのか?

上記記事は、上のグラフを解説した記事で、次のような内容がしるされている。


周期 0.1 秒の場合は約 2700gal 以上
周期 1 秒の場合は約 600gal 以上
周期 1.5 秒の場合は約 500gal 以上
周期 10 秒の場合は約 2000gal 以上
で震度7になる。

・この曲線は周期が 1 秒をちょっと超えた 1.5 秒のあたりに「底」がある。

・この「底」は「最も小さな加速度で震度 7 に相当する被害がもたらされる」領域。

・底が 1.5 秒あたりにあるのは、「周期 1 秒から 2 秒の間の地震が最も大きな被害をもたらす」ということが経験的にわかっているため。


気象庁の記事には次の様にも記されていた。
「一般的に構造物は、短い周期の地震波より長い周期の波で壊れやすい」

4⃣東日本大震災2900ガル、阪神淡路大震災では約800ガルでも震度7

http://www.totallife.co.jp/Microsoft%20PowerPoint%20-%20panfu.pdf

上記記事、62ページ メモのところに次のように記されている。

「東日本大震災では約2900ガルで震度7だったが、阪神淡路大震災では約800ガルでも震度7であった。
これは、震度の算出方法が「同じ震度でも周期が0.5秒以下の細かな揺れではガルの値が大きく、周期1秒程度の揺れでは小さくなりやすい」というデータによって、
周期0.1秒の揺れでは2700ガル程度、周期1秒の揺れでは600ガル程度で震度7の基準となるためである。 」

3⃣で見たように、

周期 0.1 秒の場合は約 2700gal 以上
周期 1 秒の場合は約 600gal 以上
周期 1.5 秒の場合は約 500gal 以上
周期 10 秒の場合は約 2000gal 以上
で震度7になる。

ので、上の記事が書いていることは正しいのであるが、
最大震度は7までで上限はないということも抑えておいたほうがいいだろう。
震度8とか9はないのである。

5⃣住宅の耐震設計は5115ガルなのに、原発の耐震設計は1000ガル。

https://mainichi.jp/premier/business/articles/20210422/biz/00m/020/040000c

上記記事に次のような内容が記されている。

①元福井地裁裁判長として、2014年5月に関西電力大飯原発の運転差し止め判決を出した樋口英明さんの発言。

⓶福島の事故は地震で原子炉が壊れたのではない。
原発は地震が来て運転を止めた後も、ウラン燃料を冷やし続ける必要があるが、停電したためにメルトダウンした。

③原発は停電、断水してはなりません。そこで配電と配管の耐震性が重要になる。

④震度6はおよそ700ガル、震度7は1500ガル以上となるが、大飯原発の耐震設計基準は当初405ガル、私が判決を出した時は700ガルで、今は856ガル

※震度1500で震度7といっているので、周期は0.05秒または12秒ぐらいだということになるだろうか。

⑤三井ホームの住宅の耐震設計は5115ガル、住友林業は3406ガル。実際に鉄板の上で住宅を揺さぶる実験をして壊れなかった。

⑥震度6はおよそ700ガル、震度7は1500ガル以上となるが、大飯原発の耐震設計基準は当初405ガル、私が判決を出した時は700ガルで、今は856ガル

⑦三井ホームの住宅の耐震設計は5115ガル、住友林業は3406ガル。実際に鉄板の上で住宅を揺さぶる実験をして、ここまで大丈夫だった。

6⃣住宅メーカーの耐震実験動画

三井ホームの耐震実験動画はこちらにあった。

0:11あたりに、「日本で観測された震度7すべての大地震で検証」と書いてある。
見ると、周期もさまざまに変えてあるようである。

 

こちらはセキスイハイムの耐震実験。
建物を外から見るより、中から見たほうが揺れが強く感じる。

原発もこのような耐震実験を行っていると思うので、動画で公開してはどうだろうか。

7⃣誤魔化すには極端に短い周期にするか、長い周期にするしかない。

ある原発推進派の方が、「ガルと震度の相関にはかなり幅があるようで、データをうまく使えばどのようにでも結論を持っていくことができそうだwww」と書いておられたが

たぶん、この方は、上に説明したような、ガルと震度の相関を理解しておられないと思う。

同じガルでも周期によって被害は変わってくるが、大きなガル数でも壊れなかったと誤魔化すためには
極端に短い周期にするか、長い周期にするしかない。

しかし三井ホームさんは動画を見ればわかるように、様々な周期で実験を行っているし、
見たところ、一番被害がでるとされる1~2秒の周期のものもありそうだ。
また、日本で観測された震度7すべての大地震を再現して、実験を行っていると書いてある。

動画のどのあたりが、5115ガルなのか、ちょっとわからないのと、縦方向の揺れが少ないように思わなくもないが。

電力会社のほうでも住宅メーカーさんを見倣って耐震試験の動画を公開すれば、安全性についての理解が得られるのではないかと思う。




放射線被ばくについて。WAMモデルの場合、変異細胞の数は時間が経つと一定となる。

1⃣原発の被曝限度は、1年1ミリシーベルトは積算。1度に1ミリシーベルトの被曝をするのとはちがう。


「1年1ミリシーベルト以上を被曝すると、1億人に5000人ぐらいのガンが出るらしい」はまちがい。
上記記事で私は次のようなことを書いた。

「放射線の人体への影響(放射線全般に関するQ&A)」まとめ

①がんは放射線だけでなく、食事、喫煙、ウィルス、大気汚染など様々な要因によって発症する。

⓶放射線でがんが起きているかどうかを検証するには、多くの集団において、受けた線量とともにがんが起こる確率も上昇するかどうかを調べる必要がある。

③原爆被爆者を主とした疫学調査では、およそ100ミリシーベルト以上の線量※では、線量とともにがん死亡が増加することが確認されている。

④100ミリシーベルトまでの線量では、放射線とがんについての研究結果に一貫性はなく、放射線によりがん死亡が増えることを示す明確な証拠はない。

⑤しかしながら、国際放射線防護委員会(ICRP)では、放射線防護の目的のためにより安全側に立った考え方として、
100ミリシーベルト未満の被ばくをする場合であっても放射線によるがん死亡は増加するとし、その割合は100ミリシーベルトあたりおよそ0.5%であるとしている。(※※100ミリシーベルトとは、これまで受けた積算線量)

⑥武田邦彦さんは過去に次のように発言されている。
「1年1ミリシーベルト以上を被曝すると、1億人に5000人ぐらいのガンが出るらしい」
「交通事故やその他の社会的なリスクから見て、1年1ミリシーベルトぐらいで「我慢」すると決めれば、国際的に合意できる」
http://takedanet.com/archives/1013801504.html

100ミリシーベルトあたり0.5%癌死する    1000✖0.5%=5人  1000人内5人 
200ミリシーベルト              1000✖1%=10人  1000人内10人
300ミリシーベルト              1000✖1.5%=15人 1000人内15人
10ミリシーベルト               1000✖0.05%=0.5人 1000人中0.5人
1ミリシーベルト              1000✖0.05%=人中0.05人 1000✖1%✖0.5%=0.05人
1ミリシーベルトのとき (1億÷1000)✖0.05=5000で
1億人のうち5000人、10ミリシーベルトなら50000人、20ミリシーベルトなら10万人が癌死するという計算になる。

⑧100ミリシーベルト以下は直線的にリスクが上昇するかどうかは明らかではない。

⑨しかしながら、国際放射線防護委員会(ICRP)では、放射線防護の目的のためにより安全側に立った考え方として、
100ミリシーベルト未満の被ばくをする場合であっても放射線によるがん死亡は増加するとし、その割合は100ミリシーベルトあたりおよそ0.5%であるとしている。

⑩確定的影響の特徴は、これ以下なら影響が生じない、これ以上なら影響が生じるというしきい線量が存在する。
しきい線量を超えると、一度にたくさんの細胞死や変性が起こり、影響の発生率は急激に増加する。
一方、放射線防護において、確率的影響にはしきい線量はないと仮定されている。
この仮定に基づくと理論上どんなに低い線量でも影響が発生する確率はゼロではないことになる。
確定的影響と確率的影響 

⑪ICRPはまた、上記で述べた考え方について、確実ではないが起こる可能性のある障害を予防するという考え方であり、100ミリシーベルトよりもごく低い線量を合計して集団で出るがんなどの症例数を計算するといった影響の評価に適用することは、不確実性が大きく適切ではないと述べている。
放射線の人体への影響(放射線全般に関するQ&A) 

⑫積算値100ミリシーベルトにはDNA修復機能が含まれていないと思う。

⑬低レベル放射線によるがんのリスクを評価する場合には、主に広島・長崎の原爆被爆者集団の疫学調査の結果を用いている。

⑭原爆のように短い時間に高い線量を受ける場合に対して、低い線量を長時間にわたって受ける場合(低線量率の被ばく)のほうが、被ばくした総線量が同じでも影響のリスクは低くなるような傾向が、実験動物や培養細胞の実験研究で明らかになっている。。
環境省 確定的影響と確率的影響 

⑮積算というが、基本的には広島・長崎の疫学調査の結果をもとに、100ミリシーベルトで0.5%増えると計算されていると思う。人体実験するわけにはいかないからだ。
「原爆のように短い時間に高い線量を受ける場合に対して、低い線量を長時間にわたって受ける場合(低線量率の被ばく)のほうが、被ばくした総線量が同じでも影響のリスクは低くなる」ともあり、どの程度リスクが低くなるのかわからないが、やはりリスクは低くなるのだ。
原発における一般人の被曝限度は、1年1ミリシーベルトと法律で定められているそうだが
それは365日、8760時間の積算であって、1度に1ミリシーベルトの被曝をするのとは、かなり状況が違ってきそうだ。


「100ミリシーベルトよりもごく低い線量を合計して集団で出るがんなどの症例数を計算するといった影響の評価に適用することは、不確実性が大きく適切ではない」
放射線の人体への影響(放射線全般に関するQ&A) より引用
これはそのとおりだと思う。
すると
「どうも1年1ミリシーベルト以上を被曝すると、1億人に5000人ぐらいのガンが出るらしい」
http://takedanet.com/archives/1013801504.html より引用
申し訳ないが、上の武田邦彦さんの文章はかなり曖昧で誤解をまねく文章だと言えると思う。
「生活習慣などの影響が排除できないので、不明だが、安全側にたってこのような仮定をつくり、それに沿って
原発による被曝量の限度を定めている」
「100ミリシーベルトよりもごく低い線量を合計して集団で出るがんなどの症例数を計算するといった影響の評価に適用することは、不確実性が大きく適切ではない」
といわなければいけなかった。

2⃣しきい値なし直線モデル仮説

放射線を被曝した場合の影響はふたつにわけられている。

a確定的影響・・・造血能低下、不妊、やけど、脱毛、白内障など
b確率的影響・・・がん、白血病、遺伝的影響

aには影響がではじめる数値がある。つまりその数値以下であれば影響はないということでもある。
そして「これ以上になると全体の1%の人に影響が生じる」数値のことを「しきい値」という。

bはおおよそ、100ミリシーベルトを超えると0.5%の人に影響があるとされている。
繰り返しになるが、100ミリシーベルト以下は生活習慣の影響などが排除できないので、不明とされている。
しかし、より安全面によるという考え方から、100ミリシーベルト以下でも影響があると仮定して
一般人の被曝限度を決めているわけである。

さらに、被ばく量は積算となっている。
通常、被曝して細胞が傷ついても、人間の体には修復機能があるので、実際には積算ではもとめられない。
被曝量から修復した分をひき、その上に新たな被曝量を足すべきなのであるが
これもやはり、安全側によるという考え方から、積算としているのだろう。

これを「しきい値なし直線モデル仮説」といい、1⃣で説明したものがこれである。

3⃣WAMモデル

これに対して「WAMモデル」というものがあるということを知ったので、書いておきたいと思う。


上記動画の説明文を書きださせていただいた。

自然突然変異細胞の発生頻度 1/100,000個
100mGyの放射線被ばくによる
突然変異細胞の発生頻度1/1,000,000個
DNA損傷
DNA損傷の修復
DNA損傷の修復または損傷細胞の排除
変異細胞の出現
変異細胞の消失・排除
従来のLNTモデルの場合、変異細胞は経過時間に応じて増加し続ける
WAMモデルの場合、変異細胞の数は時間が経つと一定となる。

「物理学知見からの提案
真鍋勇一郎、大阪大学大学院工学研究科、環境・エネルギー工学専攻
和田隆宏、関西大学理工学部、角山雄一,京都大学RIセンター
中島裕夫, 大阪大学大学院医学系研究科、
中村一成,中国科学院長春応用化学研究所
坂東昌子, NPO法人あいんしゅたいん、 京都大学基礎物理学研究所 大阪大学核物理研究センター」

この記事でもWAM理論が説明されている。

難しい数式が出てくるなどして、理解できないところも多いが(汗)
最後のまとめの部分を引用しておく。

まとめ
①刺激応答システムを前提とし、放射線の線量率依存性、修復効果を考慮した細胞の増減を考慮した理論(WAM理論)を構築した。
⓶ 5種類の動植物の突然変異発生頻度の再現に成功した。
③WAM理論からは、LNT仮説はごく短い照射時間でしか成立せず、長期的にはリスクには天井がある
④1 mGy/hr被ばく相当の自然突然変異がある。
1μGy/hrで10年長期被ばくしても、リスクの上昇がエラーバーに隠れる程度(マウスとヒトが近いとした場合)
⑤ パラメータのいくつかは他の現象と結びつけることが可能
⑥ 実験による検証を進めている

http://anshin-kagaku.news.coocan.jp/manabe2016ptt.pdf より引用

4⃣グレイ、シーベルトとは

④のμはマイクロ、㏉はグレイとよむ。hrは時間である。

https://www.aomori-hb.jp/ahb4_5_6_06.html

上記記事をまとめる。

❶ 放射線が「もの」に当たると、その持っているエネルギーを「もの」に与える。
❷”グレイ(Gy)”は、「もの」が単位質量あたりに放射線から受けるエネルギー量を示す単位。(吸収線量)
と呼ばれます。
❸グレイはジュール/キログラム(J/kg)とも表される。
1グレイ・・・物質1kgあたりに1ジュール(エネルギー量を表す単位)のエネルギーを放射線から受けた
1ジュール=約0.24カロリー。標準大気圧(1気圧)で20℃の水1グラムを約0.24℃上昇させるエネルギーに相当する。
❹光と放射線では当たった時に起こる反応が違う。
放射線は電離という現象を起こす(電離放射線)光は電離をおこさない。
❺放射線による電離は原子や分子の構造中にある電子をはじき飛ばしてイオン化させる。
人に当たった場合は人体を構成する有機物の分子構造を変化させたり壊す。
❻シーベルトは放射線が「人間」に当たったときにどのような健康影響があるのかを評価するための単位。
❼放射線の人間への影響を考える場合、受けた放射線の種類、放射線を受けた部位などを考慮する必要がある。
❽吸収線量(グレイの値)から計算式を使ってシーベルトの値を求める。
人間の各部位(臓器等の組織)の吸収線量(グレイの値)を求め、受けた放射線の種類(放射線加重係数)や体の部位ごと(組織加重係数)に係数をかけて求める。
❾ガンマ線が全身に均等にあたった場合には、シーベルトの値はグレイの値に等しくなる。
(ざっくり1グレイ=1ミリシーベルトと考えていいか?)


ボクシングに喩える

ガンマ線とベータ線

2枚とも https://www.reconstruction.go.jp/Yamagata03_yushikisya01.pdf より引用

5⃣1μGy/hrで10年長期被ばくしても、リスクの上昇がエラーバーに隠れる程度?

単位がわかったところで’(誤解しているかもw。もしそうだったら教えてね)
もう一度3⃣の文書を見てみよう。

④1 mGy/hr被ばく相当の自然突然変異がある。
1μGy/hrで10年長期被ばくしても、リスクの上昇がエラーバーに隠れる程度(マウスとヒトが近いとした場合)

被曝しなくても、1時間あたり1ミリシーベルト当たり被曝するぐらいの、自然突然変異がある。
1時間1マイクロシーベルト(=0.001 ミリシーベルト)で10年被曝しても、リスクの上限はエラーバーに隠れる程度

エラーバーが何なのかわからないが、自分用メモとして残すw。

03-25(Fri)16:24|原発 |コメント(-) |トラックバック(-)

原発は震度7で壊れる。

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泊原発

①ネトウヨっぽい?世界一厳しい新規制基準

原子力規制委員会の田中俊一委員長が原発に対して、「世界一厳しい新規制基準をつくった」と発言されたそうだ。
しかしこういうキャッチフレーズをきくと、げんなりしてしまう。

原発事故が起こる前、「日本の原発技術は世界一」だというフレーズをよく耳にした。
それでも事故はおこったではないか。

また最近いわゆるネトウヨ論者さんたちが「日本すばらしい」といって語る歴史が、ほとんどデタラメだったりする。
彼らの中には、「日本すばらしい」というために、論理崩壊はもちろんのこと、年代のまちがい(嘘?)、証拠写真の偽造までする人がいる。
それは、実際にこの目で見てきた。

「世界一厳しい新規制基準」という言葉は、ネトウヨ論者さんの思考回路に繋がっていそうで気持ち悪く感じたりもする。

また、素人が考えても、これぐらいのことは思いつく。
原発の耐震性を世界一厳しくしても、地震が起きる国と起こらない国がある。
世界一という基準をもうけることに意味がなく、過去に起こった最大規模の地震に耐えられるようにしておく必要があるのではないかと。

⓶世界一厳しい新規性基準でも震度7で壊れる。

私は工学はわからないが、その世界一厳しい新規性基準で建設された原発は震度7で壊れる設計になっていると考えられる。

たとえば、伊方原発は耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)の加速度を650ガルとしている。

そして
http://bosailiteracy.org/literacy/earthquake/japanesescale-seismiccapacity/aboutjapanesescale/
上記記事には次のようにある。

次の図は,気象庁が作成した震度ごとの周期と加速度の関係ですが,同じ加速度でも周期が違えば震度が異なることがわかります.(この図は対数グラフになっているので注意して下さい.)
この図において,たとえば木造家屋に影響が大きいとされる周期1 秒で加速度の値を見てみましょう.
周期が1秒(すなわち10 のゼロ乗)のところを見ますと約100 ガル(ガルは加速度を表す単位 Gal:cm/sec2 地球上の標準的な重力は980 ガル)以上で震度5強,約200 ガル以上で震度6弱,約350 ガル以上で震度6強,約600 ガル以上で震度7 という数字になっています.すなわち,震度5強と6弱で加速度は倍違います.また,6弱と7では加速度は3倍違います. 震度計の中では,この複雑な計算を一瞬にして計算し,震度を表示します.
 このように日本の震度階は,木造建築や低層建築物に対して影響が大きい周期1秒付近の地震波の影響を大きく評価して計算されるように定められているのです

周期が1秒のとき
100ガル・・・・・震度5強
200ガル以上・・・震度6弱
350ガル以上・・・震度6強
600ガル以上・・・震度7

伊方原発の耐震基準650ガルだから、震度7で大丈夫じゃん、というわけにはいかなそうだ。

現在は、全国各地に設置された計測震度計により自動的に観測し、発表しています。
震度は、計測震度計で観測された値で決められているので、値によっては「震度8」もあり得ます。
しかし気象庁の資料によると、「震度7は最大級の被害をもたらすものと認識されており、防災対応も最大級の措置が取られるため、それ以上の震度を出しても意味がない」などの理由から、現時点では震度7以上は設定されていません。
つまり、「震度7」には上限がないということ。
どんなに強い揺れが発生しても、「震度7」になってしまうのです。
https://bosai.pb-g.net/bosai-post-01/ より引用

震度7に上限がない、ということは、私もこのあいだまで知らなかったのだが、1000ガル、2000ガルであっても震度7なのだ。
つまり、伊方原発が650ガルの揺れに耐えるような設計になっていても、それ以上、たとえば1000ガルなどの揺れがあった場合には壊れる可能性が高いということになると思う。

個人的な意見では、「震度7」を上限なしとするよりも、「震度8」「震度9」のように上のランクを作っておいたほうがいいのではないかと思う。

そうでないと、私のようなおっちょこちょいは勘違いしそうである。
「この原発は650ガルの揺れに耐える設計になっています」
「650ガルって震度はどうなっていますか」
「震度は7です。」
「震度8ってききませんし、じゃあ大丈夫ですねー」
みたいな感じで。

で実際に震度7の地震がきて原発が壊れたとしよう。
「原発は震度7で壊れないって言ったじゃないですか。ウソつき!」
「いいえ、私たちは650ガルでは壊れないといったのであって、震度7で壊れないとはいっていません。
今回の地震は震度7でしたが、650ガルではなく、1000ガルでした。」
こういわれて、おしまいになってしまいそうだ⤵。

③最大で4022ガルが観測されている。

⓶で、耐震基準は震度ではなく、ガルで見なければいけないかったということを学んだ。
それでは、実際には何ガル程度の揺れが観測されているのか。

2008年の岩手・宮城内陸地震では最大で4,022ガル
2007年の新潟県中越沖地震では柏崎刈羽原発の1号機タービン建屋1階で1,862ガル
同3号機タービン建屋1階で2,058ガル
同6号機原子炉建屋の屋根トラスで1,541ガルの揺れが観測された。

https://www.data-max.co.jp/article/40167 より引用

とても650ガルではまにあいそうにない。

伊方原発3号機は住民が差し止めを求めて裁判を起こしているが
彼らの主張も次のようなものである。
「四国電が定める650ガル(震度6弱相当)は過小評価。
愛媛県の地域防災計画では南海トラフ巨大地震が起きた場合、伊方町は1531ガル(震度7相当)と想定されている。」

https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=806315&comment_sub_id=0&category_id=256

④ハザードマップ 震度予想は正しいのか

ある著名な方が、
「地震予知はできないが、どの程度の揺れになるかは、ハザードマップに示されている」
と発言しておられた。

そこで大阪市ハザードマップ・震度予想を見てみると、次のように記されていた。

この予測図は、大阪府自然災害総合防災対策検討委員会(平成17年度、平成18年度)及び大阪府防災会議 南海トラフ巨大地震災害対策等検討部会(平成25年度)にて一定の仮定及び条件の基に作成されたものであり、地震発生時に本予測図のとおりの状況が実際に発生することを示すものではありません。
地震の震源、規模、地質等によっては、予測を超える震度となる可能性があります。

https://www.mapnavi.city.osaka.lg.jp/osakacity/Agreement?IsPost=False&MapId=2&RequestPage=%2fosakacity%2fPositionSelect%3fmid%3d2 より引用

それはそうだろう。

まあ一般の民家であればそこまで耐震強度にこだわらなくてもいいかもしれないが、
原発は万が一壊れたりすると、広範囲に影響するのでやはり、650ガルよりももう少し高い基準であったほうがいいように思える。

「想定外」の地震多発、見直し必須の原発の耐震基準 という記事をまとめた。

①原子力発電所の耐震規制は、想定される地震のうち最大の揺れが基準とされるべき
⓶安全性基準で想定される地震を超える大地震が多数起こっている。
③原発の耐震基準は最大で約600~1,000ガルの揺れを前提として設けられている。
④しかしそれよりも大きな地震が起こっている。
⑤2008年の岩手・宮城内陸地震では最大で4,022ガル
07年の新潟県中越沖地震では柏崎刈羽原発の1号機タービン建屋1階で1,862ガル
同3号機タービン建屋1階で2,058ガル
同6号機原子炉建屋の屋根トラスで1,541ガルの揺れが観測された。
⑤これらの原発の耐震基準は原子炉本体や格納容器などの主要な部分のみに適用され、緊急時に炉心を冷却する非常用炉心冷却装置や配管などの設備は別扱い。
⑥本体が地震に耐えられても、配管やパイプの継ぎ目など発電機の周辺設備の弱い部分が壊れると、放射能漏れ事故につながると指摘されている。
⑦活断層の上だけでなく、活断層がなく地震が起こると想定されていなかった場所でも地震が多発している。
⑧ 島村氏「住宅を建てる場所で1,000年や1万年に1回などの地震が起こる可能性があってもそこまで懸念されることではありませんが、原発や核燃料廃棄物処分施設では地震時のリスクを冷静に判断して建設を見直すことが必要ではないでしょうか」
⑨なかでも放射能廃棄物処分施設は、放射能の懸念がなくなる数十万年後まで地震などで壊れることなく、安全に核廃棄物を保管できる必要がある。
⑩全国の活断層は、調査で判明しているだけでも約2,000、知られていないものを含めると約6,000に上ると推定されている。
⑪日本は欧州などに比べてはるかに活断層が多い。
⑫地震がなく安全とされる欧州でも、1~2万年に1度は大きな地震が起こっている。
⑬1,000ガルの揺れに対応できる原発をつくる場合でも乗り越えるべき課題が多い。
4,000ガルの地震に耐えられる原発の構造をつくることができるのか。

https://www.data-max.co.jp/article/40167

⑤地震以外の項目

主に地震について述べたが、地震以外の項目について、も見ておきたい。

「世界一厳しい」新規制基準で次の原発事故は防げるか? 
上記記事をまとめた。

①津波について
米国では、原発の多くは河川立地なので、津波の心配がない。
福島第一原子力発電所は、海抜30mほどの高台だったところを、わざわざ削って標高を低くし建設した。
米国GE(ゼネラル・エレクトリック)社が作ったが、GEは津波は考えていなかった。

⓶活断層について
活断層は、実際に動いてみて初めてわかることが多い。
2007年の新潟県中越沖地震でも、それまではわかっていなかった活断層が動いた。

③電源車を高台におくことについて
基準では、外部電源を喪失しても原子炉や燃料プールの冷却を継続できるように、非常用ディーゼル発電機や可搬式の電源車を高台に設置するよう求めている。
電源車を高台に置いていても、それを配電盤につなぐために移動させる途中で、地震の地割れで移動できないかもしれないし、何が起こるかわからない。

④消防ポンプ車について
万が一、全電源喪失した場合に備えて、メルトダウン(炉心溶融)を防ぐために、今回福島の事故でも活躍した消防ポンプ車を使って炉心に注水するとしている。
原子炉圧力容器の内部が高圧の場合には、消防車で注水できない。
そのため、圧力容器の逃し弁を開放して、まず容器内の水蒸気を放出して減圧する必用がある。
減圧をすれば沸点が下がり、冷却水が沸騰して蒸気になってなくなってしまい、メルトダウンを促進してしまうことにもなりかねない。
消防ポンプ車を用意すれば大丈夫というのは、あまりに楽観的。

⑤フィルター付きベント施設について
メルトダウンが起こってしまった場合にも、格納容器の破損を防ぐための対策として、フィルター付きベント施設の設置を義務付けた。
フィルターをつけて、それが完全に設計どおりに働けば、ヨウ素もセシウムも90%以上捕捉できるだろう。
でも、実際の事故においては、設計どおりにいくとは限らない。
福島の事故でも、格納容器下部の圧力抑制プールの水を通してからガスを外に放出するウェットベントをやろうとしたが、期待どおりの機能を果たさなかった。
加圧水型軽水炉(PWR)へのフィルター付きベントの設置は、5年間の猶予期間を与えるとしている。(現在はすべてついたんでしょうか?)

⑥放射能雲拡散の抑制について
格納容器が破損したとしても、あらかじめ配備した高圧放水車で水をかけて、大気中に漏れ出す放射性物質、つまり放射能雲(プルーム)の拡散を抑制するとしているが、希ガスはどんなに放水しても一切落とせない。
事故が急激に進行しているときに、そもそもプルームに放水することができるかどうかすら怪しい。

⑦テロ対策について
原子炉建屋の強度は強くない。格納容器にしても上部は蓋があるだけ。
 青森県六ヶ所村の再処理工場も、米軍三沢基地のF-4ファントム戦闘機が突っ込んでも大丈夫と言いましたが、それはあくまで、F-4が通常の速度ではなく、エンジンを停めて滑空してきて横から突っ込むという都合のいい「想定」
 本当にテロ対策をやろうと思ったら、原発の周辺にミサイルを配備して、それで原発に突っ込む前に撃ち落とすしかない。

⑧原子力規制委員会の安全目標、「事故の発生頻度を100万年に1回程度に抑制する」について。
「確率論的安全評価」といって、このくらいの確率でしか過酷事故は起きないと言えれば、原発を社会的に認めてもいいだろうという考え。
 米国の原子力委員会が取り組んだ「原子炉安全性研究」(1975年)
原発で過酷事故が起きるのは、地球に隕石が落ちて多くの人が死ぬのと同じくらいの確率だから、そんなものはしょうがないから無視していいという結論。
検討委員会は1979年1月に、確率計算の絶対値を信用してはならないとした。
その直後にスリーマイル島原発事故が起きた。
それ以降、確率論的安全評価の数字は絶対値として信用してはならないというのが、世界の常識。

⑨プラントの外部事象については除外して計算している件
外部事象は何が起こるかわからないので、確率評価をすることができないため。
原子力規制委員会が決めた、過酷事故は100万年に1回の確率に抑えるという目標も、「テロ等によるものを除く」としている。
半世紀余の間に、世界では1957年の英ウィンズケール原子炉事故、1979年の米スリーマイル島原発事故、1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故、2011年の福島第一原発事故と、4回もメルトダウンしている。

⑩手順書の整備や人員の確保、訓練の実施について
緊急時の訓練なのに、あらかじめすべてシナリオが決まっている。
しかし、実際の事故は予測できない形で始まり、予測できない形で進行していく。そんな訓練は意味がない。
下請け孫請けで何の保障もないうえ、危険手当まで搾取されたあげくに使い捨てにされる状況ではやる気がでない。
被曝線量を売る労働を認めるのであれば被曝限度に達し、「線量を売り終わってしまった」後の生活も保証しないと、労働者として成り立たない。

⑪原子力規制委員会の下にある原子力規制庁の役人の大半は、これまでの経産省や旧原子力安全・保安院の役員が横滑りしただけ。
彼らは、原子力を「国是」としてずっと推進してきた人たち。
規制委員会は「安全を確保する」と言うが、原子力を推進するための規制で推進すること自体に反対はできない。

⑫世界が経験した4回の過酷事故のうち、福島以外の3回は、地震も津波もなく、設計上の問題に人為的なミスが絡んで起きている。
地震と津波の対策ができれば安全とはいえない。

https://imidas.jp/jijikaitai/k-40-086-13-11-g112

⑥万が一事故が起こったときの対策はあるのか?

原発推進派の人はこんなことを言いそうである。
「100%の安全はない。そんなこと言ったら車の運転もできない。しかし車は運転されて、毎年多くの死者もでている。
原発による死者はひとりもでていない。」

これはもっともな意見かもしれない。

ただ原発は事故が起こった場合の影響が大きいので、事故が起こった際の対策が十分練られていることが必用だと思う。
特に近畿地方であれば、琵琶湖の汚染が心配だが、
琵琶湖の汚染を防ぐ方法はあるのか。また琵琶湖が汚染された場合、別の水源で補うことができるのか。

03-24(Thu)17:25|原発 |コメント(-) |トラックバック(-)

2006年に原発が危険なことをしっていながら、その後も安全と発言。


武田さんの発言を新しいものから順に並べてみた。


●2022年3月17日 
原子力発電所はもうすでに2006年で安全とはいえない状態だったってことなんですね。(上記動画、05:02 あたり)
https://www.youtube.com/watch?v=s5C3oD4EqZc&t=304s


●2011年03月12日
政府やNHKなどのマスコミは「原子力発電所は安全に作られている」という幻想を国民に与えてきたのです 略.わたくしは4年程前、「日本の原子力発電所は地震によって倒れるようにて設計されている」と発言しましたが、ほとんど相手にされませんでした。
http://takedanet.com/archives/1013801304.html


●2011年3月11日 福島第一原発事故


●2010年(平成22年)10月5日

研究開発専門部会の構成員について
研究開発専門部会 専門委員 に 武田邦彦氏の名前あり
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/kettei/kettei101005_1.pdf


●2010年07月25日
柏崎刈羽原発は中越沖地震で破損し、黒煙をもうもうと上げて火災を起こし、若干の放射線が漏れた。
NHKや大マスコミは「東京電力の安全意識」を批判し、そこに原因があると強調した。
国の地震基準の考え方に問題があり、東京電力はむしろそれをカバーしたのであの事故はあのくらいですんだことを知っていた。
彼らは原発の地震基準の委員会を傍聴していたのだから。でも、知っていても報道しない。
http://takedanet.com/archives/1013800631.html


●2010年06月29日
原子力委員会の研究費分配委員会で「原子力発電がCO2を出さないというのは疑問だ」と再三、発言しても取り上げられない。
http://takedanet.com/archives/1013800598.html


●2010年06月11日
原発は優れた電力の生産方法だから、温暖化などと絡める必要は無い。
正々堂々と原発の意味と安全性を説明して国民の理解を得るべきだし、「温暖化」などというどさくさ紛れで拡大すると、かえって原発は大失敗に終わるだろう。
http://takedanet.com/archives/1013800566.html


●2009年2月13日
原子力委員会 研究開発専門部会(第7回)
私も、もう既に述べさせていただきましたが、1つは講演会とかそういうのをやっていますと、エネルギーの将来について、非常に多くの国民の方が非常に強い不安を持っています。

石油が無くなったら日本はどうするんだろうという感じがあります。
「原子力がある、いいじゃないか」と僕が言うと、ほとんどの人が「原子力は危険だから」とこういうふうに応じますね。これは、時代の経過とともに誤解が解けるかもしれませんが、それを待つだけではなくて、そういう質問に対して正面から研究開発とか、そういう点でも答えていくことも必要かと思います。
それは非常に多岐にわたっていて、基礎研究の分野でもあるし、実用的なものもあるし、いろいろなものがあって、今までもさんざんやってきていると言えばそうなんですが、

やってきても、成果が上がっていないのは確かだから、つまり不安に思っているわけですので、それを何か系統的に、研究サイドでも考えるべきではないでしょうか。
それから、もう一つ、この委員会でやるんじゃないといってお叱りを受けちゃったんですが、そういう全体像から見たら、原子力予算が日本で減少していくというのは、信じられません。
というのは、日本は石油もないし、石炭もないので、50年後とか、原子力しか、もともとエネルギーとして持つものがないという状態に陥ることは間違いがないわけです。
ですから、恐らく2,500億とか、そんな小さな数字を多くの人が想定していないんじゃないかと思われるんですけれども。
実は研究開発の中味をよく知っている人が、研究開発予算の適正規模というのがわかるのではないでしょうか。
もちろん国家全体の何とかと言われたらそれまでなんですけれども。
そういう意味では積極的な予算編成をして、近い将来に日本がしっかりした安全な原子力をつくるという、そういう意思をはっきり示すようにしてはいかがでしょうか。
こんなにどんどん下がっているというのは、原子力は要らないよ、と言っている感じもします。この委員会の担当ではないという話なんですが、私は非常にしっかりした研究計画ができれば、人にも十分に説得できるのではないかと思うんですが。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/kenkyuukaihatu/gijiroku/gijiroku07.pdf


●2009年1月16日
原子力委員会 研究開発専門部会(第6回)議事録
私は日本国にとって原子力以外にはエネルギー源が将来無いと思っています。
石油なんか外から買っているわけですし、自然エネルギーといったって国土が狭いですし。

アメリカの13分の1しか実際上のGDP比でないわけですから、アメリカがどうしたなんてことは余り関係なくて、
アメリカがどうしたかも知識として入れておくのは必要なんですけれども、
日本はとにかく20世紀の後半に石油という外国から買える安いエネルギー品質の高いものが入ったから進歩したわけで、これを自然エネルギーなんかにしたら、日本は国土面積としての不利を大きく受けるわけです。
 それから、今までのエネルギー開発もしくはエネルギー生産の歴史から言えば、原子力が最も安全であることは歴史的に証明されているわけですが、それが理解されていないというか、事実として知られていないことが、
結果として大学から原子力という名前が無くなったり、原子力予算が一方的に下がっている基本的な問題ではないかと思うので、やっぱり論点としてはそれが一番大きいのではないかと思います。
論点の中に入っていないのですけれども、そんなの当たり前だから、ここはもうみんなそれには合意しているので、原子力しかないということと、原子力が一番安全だということは当たり前じゃないかと、
そんなこと内閣府の原子力委員会で言っては困るよということで論点に入っていないのでしょうか。
そうすると、何で予算が減ったんですかと1回僕は質問したのですけれども、僕はそこに課題があるのではないかと思うんです。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/kenkyuukaihatu/gijiroku/gijiroku06.pdf


●2008年11月14日
原子力委員会 研究開発専門部会(第5回)
 原子力機構のときにも質問をした件ですが。
多くの日本の方は原子力発電所が危ないと思っているわけです。
私は、これはPRと言いますか、そういうことでは片づかなくて、新しい原子力に関する認知をさせる方法を非常に本格的に研究開発しなくてはいけないのではないかと思います。
つまり、今のように実施者のほうは安全であると、受益者のほうは危険であるという状態は受益者が間違っているんだという基本的な概念をPRとかそういうもので解決すべきではないかと、
私はちょっと意見が変わるかもしれませんが、そう思っていて、
できればそういう研究というのを全体の中のかなりのウエートでおやりになるのは非常にいいのではないかと思っております。
これはコメントです。

http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/kenkyuukaihatu/gijiroku/gijiroku05.pdf より引用


●2007年07月22日 新潟の原子力発電所の漏洩事故

ニュースでは伝えられていないが、日本の原子力発電所は「強い地震が来れば、付近の人は被爆する」という前提で作られている。
そのことを、2006年の5月2日に行われた、第2回 原子力安全基準・指針専門部会 を引用してはっきりしておきたいと思う。
http://takedanet.com/archives/1013799287.html




「1年1ミリシーベルト以上を被曝すると、1億人に5000人ぐらいのガンが出るらしい」はまちがい。


①1,000人が100ミリシーベルト被曝すると、がん死亡者が300人から305人に増加する

「放射線の人体への影響(放射線全般に関するQ&A)」
上の記事に次のような内容が記されている。

①がんは放射線だけでなく、食事、喫煙、ウィルス、大気汚染など様々な要因によって発症する。

⓶個々のがんが放射線によるものであると特定することはできない。

③放射線でがんが起きているかどうかを検証するには、多くの集団において、受けた線量とともにがんが起こる確率も上昇するかどうかを調べる必要がある。

④原爆被爆者を主とした疫学調査では、およそ100ミリシーベルト以上の線量※では、線量とともにがん死亡が増加することが確認されている。

⑤100ミリシーベルトまでの線量では、放射線とがんについての研究結果に一貫性はなく、放射線によりがん死亡が増えることを示す明確な証拠はない。

⑥しかしながら、国際放射線防護委員会(ICRP)では、放射線防護の目的のためにより安全側に立った考え方として、
100ミリシーベルト未満の被ばくをする場合であっても放射線によるがん死亡は増加するとし、その割合は100ミリシーベルトあたりおよそ0.5%であるとしている。

⑦日本人は元々約30%(1,000人のうち300人)ががんで亡くなっている。

⑧仮に1,000人の方が100ミリシーベルト※※の線量を受けたとすると、生涯にがんで亡くなる方が300人から305人に増加すると計算できる。

⓶1ミリシーベルトのとき1億人のうち5000人癌死する。

週刊新潮の記事によると、武田邦彦さんは過去に次のように発言されているようである。
http://deliciousicecoffee.jp/blog-date-20110806.html

a.100ミリ……慢性的な疾患がみられるようになり、1000人に5人が放射線によって過剰がんになる
b.100ミリまでは、がんになる確率は完全に比例する。
c.1ミリで1億人に5000人、10ミリで1億人に5万人、20ミリで10万人。低線被曝。

しかし、bについては確認ができなかった。確認できたのは、次の文章である。

たとえば、遺伝子はDNAで出来ていますが、実験でDNAに放射線を照射する実験をするとDNAが損傷します.放射線より弱いエネルギーをもつ紫外線でも損傷するのですから、化学的には当然でもあります.

DNAが損傷すると、ガンや遺伝性の病気になりますが、生物の体は自分でDNAの損傷を治すことが出来ますので、「どの程度の損傷なら、人間の体は修復できるか?」ということになります。

そこがややこしいところです。

そこで、医学ばかりではなく関係する学問を総動員してデータを集めると、

「どうも1年1ミリシーベルト以上を被曝すると、1億人に5000人ぐらいのガンが出るらしい」
「交通事故やその他の社会的なリスクから見て、1年1ミリシーベルトぐらいで「我慢」すると決めれば、国際的に合意できる」

ということが決まりました。

http://takedanet.com/archives/1013801504.html より引用

①₋⑥をもう一度みてみよう。
⑥しかしながら、国際放射線防護委員会(ICRP)では、放射線防護の目的のためにより安全側に立った考え方として、
100ミリシーベルト未満の被ばくをする場合であっても放射線によるがん死亡は増加するとし、その割合は100ミリシーベルトあたりおよそ0.5%であるとしている。

100ミリシーベルトあたり0.5%癌死する    1000✖0.5%=5人   1000人内5人 
200ミリシーベルト               1000✖1%=10人  1000人内10人
300ミリシーベルト               1000✖1.5%=15人 1000人内15人

10ミリシーベルト                 1000✖0.05%=0.5人 1000人中0.5人
1ミリシーベルト                        1000✖0.05%=人中0.05人  1000✖1%✖0.5%=0.05人

1ミリシーベルトのとき (1億÷1000)✖0.05=5000
で1億人のうち5000人、10ミリシーベルトなら50000人、20ミリシーベルトなら10万人が癌死するという計算になる。
武田さんは、1ミリで1億人に5000人癌になるといっているが、5000人が癌死する、といったほうが正しいのではないかと思う。

③100ミリシーベルト以下は直線的にリスクが上昇するかどうかは明らかではない。

ただし、
⑤100ミリシーベルトまでの線量では、放射線とがんについての研究結果に一貫性はなく、放射線によりがん死亡が増えることを示す明確な証拠はない。

⑥しかしながら、国際放射線防護委員会(ICRP)では、放射線防護の目的のためにより安全側に立った考え方として、
100ミリシーベルト未満の被ばくをする場合であっても放射線によるがん死亡は増加するとし、その割合は100ミリシーベルトあたりおよそ0.5%であるとしている。

癌死亡割合

「放射線の人体への影響(放射線全般に関するQ&A)」より引用

上のグラフは青丸部分の文字がよみにくい。
「およそ100ミリシーベルトより低い線量では明確な証拠は確認されていない」
「1000人が100ミリシーベルト受けた場合、生涯で305人が癌で死亡しそのうち5人が放射線によると推定できる」だろうか。

とにかく、100ミリシーベルト以下は、生活習慣などの影響が排除できないので、被曝による影響があるかどうか、わからないのだが
「安全側にたつ」という立場から、100ミリシーベルト以下も被曝の影響があると仮定しているということだ。

こういう記事もある。

確定的影響の特徴は、これ以下なら影響が生じない、これ以上なら影響が生じるというしきい線量が存在するということです。
しきい線量を超えると、一度にたくさんの細胞死や変性が起こり、影響の発生率は急激に増加します。
一方、放射線防護において、確率的影響にはしきい線量はないと仮定されています。
この仮定に基づくと理論上どんなに低い線量でも影響が発生する確率はゼロではないことになります。
100~200ミリシーベルト以下の低線量域については、放射線被ばくによる確率的影響を疫学的に検出することは極めて難しく、
国際放射線防護委員会(ICRP)は、低線量域でも線量に依存して影響(直線的な線量反応)があると仮定して、放射線防護の基準を定めています。

確定的影響と確率的影響 より引用

④1ミリシーベルトは積算。

本人は元々約30%(1,000人のうち300人)ががんで亡くなっています。この国際的な推定値を用いると、仮に1,000人の方が100ミリシーベルト※※の線量を受けたとすると、生涯にがんで亡くなる方が300人から305人に増加すると計算できます。ICRPはまた、上記で述べた考え方について、確実ではないが起こる可能性のある障害を予防するという考え方であり、100ミリシーベルトよりもごく低い線量を合計して集団で出るがんなどの症例数を計算するといった影響の評価に適用することは、不確実性が大きく適切ではないと述べています。

※この線量は臓器ごとに放射線感受性の重みづけをして足し合わせた実効線量と呼ばれる線量です。「等価線量と実効線量について教えて下さい」もご参照ください。

※※ここで言う100ミリシーベルトとは、これまで受けた積算線量として考えています。また、この100ミリシーベルトには自然界から受ける放射線量は含まれません。

放射線の人体への影響(放射線全般に関するQ&A) より引用

「100ミリシーベルトの線量を受けたとすると、生涯にがんで亡くなる方が300人から305人に増加する」というときの
100ミリシーベルトとは「これまで受けた積算線量」のことなのだ。

たとえば、CT検査を4回して、1回の被ばく量が30ミリシーベルトだった場合、120ミリシーベルトということになる。

⑤積算値100ミリシーベルトにはDNA修復機能が含まれていないと思う。

しかし、人間にはDNAを修復する機能があるので、積算量が120ミリシーベルトだったとしても、
癌死する確率が0.5%生じたとはいえない。実際にはもっと少ない確率になるだろう。
しかし、修復能力には個人差があるだろうし、どのくらい修復するかということも調べ切れていないのだと思う。
それで安全側にたって、積算量100ミリシーベルトで癌死する確率が0.5%としているということだと思う。

⑥低レベル放射線によるがんリスク評価は、積算ではなく一度に被曝したケースが用いられているのではないか?

低レベル放射線によるがんのリスクを評価する場合には、主に広島・長崎の原爆被爆者集団の疫学調査の結果を用いています。
放射線被ばく線量とがん発生の関係はおよそ150ミリシーベルト以上では、ほぼ直線的に線量と共にリスクが上昇することが分かっています。
しかし、150ミリシーベルトより低い線量では、直線的にリスクが上昇するかどうかは明らかではありません。

また原爆のように短い時間に高い線量を受ける場合に対して、低い線量を長時間にわたって受ける場合(低線量率の被ばく)のほうが、被ばくした総線量が同じでも影響のリスクは低くなるような傾向が、実験動物や培養細胞の実験研究で明らかになっています。

環境省 確定的影響と確率的影響 より引用

この文章には
「低レベル放射線によるがんのリスクを評価する場合には、主に広島・長崎の原爆被爆者集団の疫学調査の結果を用いています。」
とある。

積算というが、基本的には広島・長崎の疫学調査の結果をもとに、100ミリシーベルトで0.5%増えると計算されていると思う。
そう考えるのは人体実験するわけにはいかないからだ。

「原爆のように短い時間に高い線量を受ける場合に対して、低い線量を長時間にわたって受ける場合(低線量率の被ばく)のほうが、被ばくした総線量が同じでも影響のリスクは低くなるような傾向が、実験動物や培養細胞の実験研究で明らかになっています。」
ともあり、どの程度リスクが低くなるのかわからないが、やはりリスクは低くなるのだ。

原発における一般人の被曝限度は、1年1ミリシーベルトと法律で定められているそうだが
それは365日、8760時間の積算であって、1度に1ミリシーベルトの被曝をするのとは、かなり状況が違ってきそうだ。


「100ミリシーベルトよりもごく低い線量を合計して集団で出るがんなどの症例数を計算するといった影響の評価に適用することは、不確実性が大きく適切ではない」

放射線の人体への影響(放射線全般に関するQ&A) より引用

これはそのとおりだと思う。

すると
「どうも1年1ミリシーベルト以上を被曝すると、1億人に5000人ぐらいのガンが出るらしい」
http://takedanet.com/archives/1013801504.html より引用

申し訳ないが、上の武田邦彦さんの文章はかなり曖昧で誤解をまねく文章だと言えると思う。

「生活習慣などの影響が排除できないので、不明だが、安全側にたってこのような仮定をつくり、それに沿って
原発による被曝量の限度を定めている」

「100ミリシーベルトよりもごく低い線量を合計して集団で出るがんなどの症例数を計算するといった影響の評価に適用することは、不確実性が大きく適切ではない」

といわなければいけなかった。






03-16(Wed)11:48|原発 |コメント(-) |トラックバック(-)

マスクで酸素不足にはならない。

①マスクが脳障害をおこす?臨床試験は必要ない?


マーガレット・グリーズブリッソン博士の発言が引用されている記事があった。

自動翻訳されたものを、引用する。

Dr.Margarite Griesz-Brisson MD、PhDは、神経毒性学、環境医学、神経再生、神経可塑性に特に関心のある、薬理学の博士号を持つ神経内科医および神経生理学者のコンサルタントです。これは彼女がフェイスマスクと私たちの脳への影響について言わなければならないことです:

私たちの呼気の再吸入は、間違いなく酸素欠乏と二酸化炭素の氾濫を引き起こします。人間の脳は酸素欠乏に非常に敏感であることを私たちは知っています。たとえば海馬には、それより長くできない神経細胞があります。酸素なしで3分-彼らは生き残ることができません。

急性の警告症状は、頭痛、眠気、めまい、集中力の問題、反応時間の減速-認知システムの反応です。

しかし、慢性的な酸素欠乏があると、これらの症状はすべて消えます。 、あなたはそれに慣れているので。しかし、あなたの効率は損なわれたままであり、あなたの脳内の酸素の供給不足は進行し続けます。

神経変性疾患の発症には数年から数十年かかることを私たちは知っています。今日あなたがあなたの電話番号を忘れるならば、あなたの脳の崩壊はすでに20年か30年前に始まったでしょう。

マスクを着用して自分の呼気を再呼吸することに慣れていると考えている間、酸素欠乏が続くにつれて、脳の変性過程が増幅されています。

2つ目の問題は、脳内の神経細胞が正常に分裂できないことです。したがって、私たちの政府がマスクを取り除き、数ヶ月以内に再び自由に酸素を呼吸することを寛大に許可する場合、失われた神経細胞はもはや再生されません。なくなったものはなくなっています。

私はマスクを着用していません、私は私の脳が考える必要があります。二酸化炭素による麻酔ではなく、患者さんと接するときは頭をすっきりさせたいです。 酸素欠乏はすべての脳にとって危険である

ため、フェイスマスクからの根拠のない医学的免除はありません。ウイルスから身を守るのに絶対に効果のないマスクを着用したいかどうかは、すべての人間の自由な決定でなければなりません。 子供や青年にとって、マスクは絶対にノーノーです

。子供と青年は非常に活発で適応免疫システムを持っており、地球のマイクロバイオームとの絶え間ない相互作用を必要としています。彼らの脳はまた、学ぶことがたくさんあるので、信じられないほど活発です。子供の脳、または若者の脳は、酸素を渇望しています。臓器が代謝的に活性であるほど、より多くの酸素が必要になります。子供と青年では、すべての臓器が代謝的に活性です。

子供や青年の脳から酸素を奪ったり、何らかの方法でそれを制限したりすることは、彼らの健康に危険であるだけでなく、絶対に犯罪です。酸素欠乏は脳の発達を阻害し、その結果として生じた損傷を元に戻すことはできません。

子供は学ぶために脳を必要とし、脳は機能するために酸素を必要とします。そのための臨床試験は必要ありません。これは単純で議論の余地のない生理学です。意識的かつ意図的に誘発された酸素欠乏症は、絶対に意図的な健康被害であり、絶対的な医学的禁忌です。

医学における絶対的な医学的禁忌は、この薬、この治療法、この方法または手段は使用されるべきではなく、使用が許可されていないことを意味します。全人口に強制的に絶対的な医学的禁忌を使用するように強制するには、これには明確で深刻な理由がなければならず、その理由は、検証および承認を受けるために有能な学際的かつ独立した機関に提示されなければなりません。

10年後に認知症が指数関数的に増加し、若い世代が神から与えられた可能性に到達できなくなったとき、「私たちはマスクを必要としなかった」と言っても仕方がありません。

獣医師、ソフトウェアディストリビューター、ビジネスマン、電気自動車メーカー、および物理学者は、どのようにして全人口の健康に関する問題を決定できますか?親愛なる同僚の皆さん、私たちは皆目を覚まさなければなりません。

私は、酸素欠乏が脳にどれほどダメージを与えるかを知っています。心臓病専門医はそれが心臓にどれほどダメージを与えるかを知っています。呼吸器科医はそれが肺にどれほどダメージを与えるかを知っています。酸素欠乏はすべての臓器に損傷を与えます。

私たちの健康部門、私たちの健康保険、私たちの医師会はどこにありますか?封鎖に激しく反対し、封鎖を止め、最初から止めなければならなかったでしょう。

なぜ医療委員会は人々に免除を与える医師に罰を与えるのですか?その人または医師は、酸素欠乏が人々に害を及ぼすことを真剣に証明する必要がありますか?私たちの医師や医師会はどのような薬を代表していますか?

この犯罪の責任者は誰ですか?それを強制したい人は?それを起こさせて一緒に遊ぶ人、それともそれを妨げない人?

それはマスクについてではなく、ウイルスについてでもありません、それは確かにあなたの健康についてではありません。それははるかに多くです。私は参加していません。私は恐れていないです。

お気づきのように、彼らはすでに私たちの空気を吸い込んでいます。時間の義務は個人的な責任です。私たちはメディアではなく、私たちの考えに責任があります。上司ではなく、私たちの行動に責任があります。私たちは世界保健機関ではなく、私たちの健康に責任があります。そして、私たちは政府ではなく、私たちの国で起こることに責任があります。」


ドイツの神経内科医はフェイスマスクの着用に対して警告:「酸素欠乏は永続的な神経学的損傷を引き起こす」より引用

内容をまとめる。

①「呼気の再吸入は酸素欠乏と二酸化炭素の氾濫を引き起こす。
⓶人間の脳は酸素欠乏に敏感。
たとえば海馬の神経細胞は、酸素が欠乏すると3分で死んでしまう。
③急性の警告症状は、頭痛、眠気、めまい、集中力の問題、反応時間の減速-認知システムの反応。
④慢性的な酸素欠乏があると③は消え、気が付かないまま脳への酸素供給不足は進行する。
⑤神経変性疾患の発症には数年から数十年かかる。
⑥酸素不足になると脳内の神経細胞が正常に分裂できない。失われた神経細胞は再生されない。
⑦私はマスクを着用していません、私は私の脳が考える必要があります。二酸化炭素による麻酔ではなく、患者さんと接するときは頭をすっきりさせたいです。 酸素欠乏はすべての脳にとって危険である
⑧ウイルスから身を守るのにマスクは効果がない。
⑨それでもマスクをするかどうかは、個人個人で自由に決定するべき。
⑩子供や青年はマスクは絶対にするべきではない。
⑪子供と青年は非常に活発で適応免疫システムを持っており、地球のマイクロバイオームとの絶え間ない相互作用を必要としている。また彼らの脳には酸素が必用。
⑫子供や青年の脳から酸素を奪ったり、制限したりすることは、彼らの健康に危険であるだけでなく、犯罪です。
⑬子供は学ぶために脳を必要とし、脳は機能するために酸素を必要とする。そのための臨床試験は必要ない。

こういうことを聞くと、マスクをするのが怖くなってしまう。
しかし⑬で、「臨床試験は必要ない」といっているのが気になる。

人体実験はできなくても、医療関係者は長時間、長期間にわたってマスクを着用してきた。
そのような人々の健康調査を行うなどできないのだろうか。
また、医療関係者がマスクによって脳障害を起こしたという話は聞いたことがない。

⓶「マスクで脳障害になる」という動画がファクトチェックでデマ判定されている。

実は同様の内容、マスクが新型コロナウイルスの拡散を止めることはなく、そればかりか脳から酸素を奪い損傷を与える」という内容の動画が、すでにファクトチェックによってデマとされ、動画も削除されていた。

もちろん、ファクトチェックでデマ判定されたから、間違いと主張するつもりはない。
ファクトチェックが間違うということもあるので、記事をきちんと読んで考えてみることが必用だ。


ファクトチェック:フェイスマスクは、酸素を奪うことによって脳に「ひどい損傷」を引き起こしません

この記事の中に

「第一に、フェイスマスクが成人の脳に「危険」な酸素欠乏を引き起こしたり、若々しい脳が適切に発達するのを妨げたりすることを示唆する証拠はありません。7月の米国の研究者による研究では、平均的なフェイスマスクは肺への酸素の流れを制限しなかったことがわかりました。重度の肺疾患のある被験者でも(ここ)。研究者たちは、マスクを着用することによる最初の不快感は、敏感な顔面神経の刺激、吸入された空気の温まり、または閉所恐怖症の感情が原因である可能性があると指摘しました。」

「第一に、フェイスマスクが成人の脳に「危険」な酸素欠乏を引き起こしたり、若々しい脳が適切に発達するのを妨げたりすることを示唆する証拠はありません。7月の米国の研究者による研究では、平均的なフェイスマスクは肺への酸素の流れを制限しなかったことがわかりました。重度の肺疾患のある被験者でも(ここ)。研究者たちは、マスクを着用することによる最初の不快感は、敏感な顔面神経の刺激、吸入された空気の温まり、または閉所恐怖症の感情が原因である可能性があると指摘しました。」

とあり、(ここ)の部分をクリックすると

フェイスマスクで呼吸しても酸素レベルは変わりません。ウイルスは皮膚に9時間続く可能性があります

という記事にとぶ。


この記事には次のような内容が記されている。


・15人の健康な医師と15人の軍の退役軍人で、ペースの速い6分間の歩行で、ガス交換(二酸化炭素を除去しながら体が血液に酸素を追加するプロセス)に対するサージカルマスクの着用の効果をテストした。

・血液中の酸素と二酸化炭素のレベルは、歩行テストの前後に測定された。

・健康な医師も肺の病気の患者も、歩行テスト後または最大30分後のガス交換測定値に大きな変化は見られなかった。


30人の調査では、数が少ないように思えるが、この研究では酸素レベルが変わらないという結果がでている。
一方のマーガレット・グリーズブリッソンのほうは、臨床研究は必要がないとして行っていない。

慢性的な酸素欠乏が障害を起こすという主張が正しいか間違っているかはわからないが
「マスクが酸素欠乏をひきおこす」という点において、彼女の主張には根拠がなかったのである。


③マスクにはデメリットもある。

マスクにはデメリットもある。
そもそもデメリットのないものなんて存在しない。

例えば日傘は日よけ防止効果はあるが、狭い通路では幅をとって邪魔になったり、傘の骨の先端で他人の目を傷つける危険性もある。
日傘は危険なので日焼け止めクリームをぬればいいと思っても、体質によっては日焼け止めクリームにかぶれたりもする。
じゃあどうすればいいのか。
日焼け止めクリームにかぶれない人は日焼け止めクリームをぬり
日焼け止めクリームにかぶれる人は、他人の迷惑にならないように日傘をさすか、つばの広い帽子をかぶるなどの対処法が考えられる。

 ネットをぐぐるとマスクの弊害についての記事もたくさんある。

・口呼吸になりがち。
・乳幼児のマスク着用は危険。
・虫歯歯周病になりやすくなる。
・表情がよみとりにくく、子供の発達に障害を与える。

 しかし当然マスクにはメリットもある。
「PFE99%」という表記のあるマスクでは、約0.1㎛サイズの粒子(ウィルスの大きさはそのくらい)を99%ろ過する。
ますくを正しく使えば、自分が感染するのを防ぐこともできるし、他人を感染させない効果も期待できるということだ。

・口呼吸にならないように鼻呼吸を心掛ける。
・乳幼児にはマスクはさせない。
・家庭や混雑していない場所ではマスクを外す。

などを心掛ければいいのではないだろうか。

④100%でなければゼロと同じ、という極端な考え方はやめてほしい。

マスクに100%予防効果があるわけではない。
繰り返すが、世の中に100%確実なものはない。

マスクは顔の横からマイクロ飛沫がもれるということもある。

 しかし、マスクを着用してクシャミをすると、マスクの内側にべっとりと飛沫がつく。
 これだけの飛沫の拡散を抑えられたということだ。

100%でなければゼロと同じ、という極端な考え方はやめていただきたい。
仮にマスクに感染予防効果が50%あるとすると、マスクを着用することで50%リスクを減らせるといことになる。

ワクチンも同様だが、ワクチンを接種したり、マスクを着用していても、新型コロナウィルスに感染することはある。
自身の例で効果がなくても、ワクチンやマスクに効果がないとはいいきれない。

ワクチンやマスクの効果はコホート研究によって証明される。
コホート研究とは特定の要因に曝露した集団と曝露していない集団を一定期間追跡し、疾病の発生率を比較することで効果の有無を確認する研究のことである。

これによって新型コロナウィルスのワクチンの効果は99%以上との結果がでている。

マスクがインフルエンザを防がなかったという研究結果はあるが、マスク+手指衛生で効果があったという研究はある。

日常的なマスク着用による感染予防効果について 「マ〇〇着用と手洗い実施による感染予防効果」


⑤無症状でもマイクロ飛沫で感染させるケースがある。


新型コロナウイルスに感染した人が他の人に感染させてしまう可能性がある期間は、発症の2日前から発症後
7~10日間程度とされています。
また、この期間のうち、発症の直前・直後で特にウイルス排出量が高くなると考えられています。
このため、新型コロナウイルス感染症と診断された人は、症状がなくとも、不要・不急の外出を控えるなど感染
防止に努める必要があります。 

新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、他の人に感染させているのは2割以下で、多くの人は他の
人に感染させていないと考えられています。
このため、感染防護なしに3密(密閉・密集・密接)の環境で多くの人と接するなどによって1人の感染者が
何人もの人に感染させてしまうことがなければ、新型コロナウイルス感染症の流行を抑えることができます。
体調が悪いときは不要・不急の外出を控えることや、人と接するときにはマスクを着用することなど、新型コロナウ
イルスに感染していた場合に多くの人に感染させることのないように行動することが大切です。
※ マスクの着用により、感染者と接する人のウイルス吸入量が減少することがわかっています。(布マスクを感染者が着用した場合に60-80%減少
し、感染者と接する人が着用した場合に20-40%減少。)
 
https://corona.go.jp/proposal/pdf/chishiki_20211105.pdf  より引用


症状がなくても他人を感染させてしまうというのは、飛沫感染というよりも、マイクロ飛沫による感染なのかもしれない。


マイクロ飛沫はクシャミや咳をしなくても会話や呼気から細かい飛沫が空気中に飛散し、
大きな飛沫だと地面に落下してかわくと感染性を失うのだが
マイクロ飛沫は軽いので長く空気中にとどまって他者を感染させると考えられている。


なので、症状がなくても大勢の人がいるような場所では、マスクを着用することがのぞましいといわれている。


⑥マスク着用は法律できまっていないが、店はそれを理由に入店拒否することができる。


よく、「法律でマスク着用は義務付けられていないので、マスクをする必用はない」という意見がある。

これはまちがいである。


基本的に、入店拒否できる 結論としては、法律上、マスクを着けていない客の入店拒否をすることはできます。
なぜなら、その店の所有者や管理者は、営業の自由があり、基本的に、その店にどのような客の入店を許すかどうか、誰と契約するかどうかについて決める権限を有しているからです。

ただし、どんな場合でも入店拒否ができるわけではありません。
例えば、マスクを着けていない日本人には入店を許しているにもかかわらず、マスクを着けていない外国人だけを一律に入店拒否することは、外国人に対する不合理な差別として、不法行為にあたり違法となる可能性があります。

外国人を一律入店拒否にした銭湯が、不法行為だとして慰謝料の支払いを求められた裁判がありました。
裁判所は、外国人の一律入浴拒否は、不合理な差別であって、社会的に容認しうる限度を超えているから、違法であり不法行為にあたると判断しています(札幌地裁判決平成14年11月11日)。

緊急事態宣言が発令されたコロナ禍の中で、感染予防のためにコロナを着用していない客の入店を拒否することは、合理的な理由があると考えられますので、不法行為とはいえないでしょう。」

〇〇〇を着けずに外出する人々!入店拒否は許される!?  より引用


⑦マスクをするべきという同調圧力?


マスクをするべきというのは同調圧力だという人がいる。

もちろん、マスクをするしないは本人の自由なのだが、すでに述べたように、マスクを着用しないと他人を感染させる危険性が高いので、マスク着用しない人を断る権利もまた誰にでもあるだろう。


体に刺青を入れたり、髪を奇抜な色に染めても、誰にも迷惑はかけないが
マスクやワクチンはこれとは異なる。


自由は、他人に迷惑をかけてまでやっていいものなのだろうか?


マスクを着用しない人は、マスクに変わる他者への気遣いが必用ではないかと思う。


例えば
・PCR検査を頻繁にうける。
・飲み会、カラオケに参加しない。
・買い物はネットでする。


など。

ワクチン接種するより、接種しないほうが新型コロナで死亡しにくい?(まちがいです。)

1⃣ワクチンを打った人のほうが死亡者が多い!

こんなことを言っている人がいた。

「イギリスでは、ワクチン接種者のほうが未接種者より新型コロナの死者数が多い。」

そして、次のような数字をあげておられた。

「死亡者は未接種が165人、2回接種が224人。」

調べてみたら、次の記事だった。

「ワクチン接種88%のイギリス 死亡率データから読み取れるものは」
https://news.yahoo.co.jp/articles/ac939468e80bba946a68774ea656e33d1122a642

記事には確かにこう書いてある。

2月1日から7月19日までにデルタ株に感染した約23万人をワクチンの接種回数などで分類。
ワクチン未接種の感染者は12万1402人で、2回接種済みの感染者は2万8773人
そのうち、死亡者は未接種が165人、2回接種が224人だった。

感染者    ワクチン未接種12万1402人 ワクチン接種済 2万8773人
うち死亡者  ワクチン未接種165人    ワクチン接種済224人 

感染者はワクチン未接種がワクチン接種済の4倍多い。


3⃣ワクチン接種開始前と開始後を比べると死者数は激減していた。

しかし、同じ記事にこうも書いてある。

「多いときで1日1500人超、計12万人を超える人が新型コロナで命を落としたイギリスだが、ワクチンが行き渡りつつあるいま、感染力が強いデルタ株でも、死亡者は1日数十人にとどまる。」

つまり

ワクチン接種開始前・・・・1日死亡者 1500人超(ピーク時)
ワクチン接種開始後・・・・1日死亡者 数10人

確実にワクチンの効果がでているといえる。


4⃣ワクチン接種率を考える必要があると思う。

算数は苦手なので、間違っていたら指摘していただきたいが
単純に数の多い少ないで考えるのはまちがいだと思う。

たとえば1000人いて、ワクチン接種率90%だと
ワクチン未接種100人、ワクチン接種900人となる。

ワクチン未接種の50人が感染して死亡した場合
50÷100✖100=50%
ワクチン未接種者の50パーセントが感染して死亡したことになる。

ワクチン接種者の50人が感染したとすると、

50÷900✖100=5.6%
ワクチン接種者の5.6%が感染して死亡したということになる。

感染して死亡した人数が同じでも、感染者がワクチン未接種者・ワクチン接種者それぞれの、全体にしめる割合が異なる。

ワクチン以外に死者数を減らす要因がなかったと想定すると
上の例では、ワクチンによって死亡者を約10分の1に減らすことができたといえそうである。

もっと極端な話、ワクチン未接種者0%、ワクチン接種者100%で、死亡者50人だったとしよう。
この場合、当然ワクチン未接種者の死亡者は0だが、さすがにこのケースで、ワクチン未接種のほうが死亡率が高いという人はいないだろう。


5⃣ワクチン摂取率を考えて死亡率を計算してみた。

https://ecitizen.jp/Population/Country/UK

上記によるとイギリスの人口は2020年で6,723万人である。

うち、成人人口は5200万人
ワクチン接種率80%とすると

ワクチン接種者  5200万人✖80%=4160万人 死亡者224人 死亡者の割合 0.00054%
ワクチン未接種者 5200万人×20%=1040万人  死亡者165人    死亡者の割合 0.00158%

ワクチン摂取率75%でも

ワクチン接種者  5200万人✖75%=3900万人 死亡者224人 死亡者の割合 0.00057%
ワクチン未接種者 5200万人×25%=1300万人  死亡者165人   死亡者の割合 0.00126%

となって、ワクチン未接種者のほうが死亡率は高くなる。


6⃣ワクチン接種済の高齢者は死亡リスクが高く、ワクチン未接種の若年層は死亡リスクが低い。

実際には5⃣のようなワクチン接種率だけでなく、様々な要因によって死者数は左右されていると考えられる。

記事にも、次のように記されている。

①ワクチンを打った人が、死亡リスクの高い高齢者なので、感染による死亡者数のほうが多くなった。

⓶死亡者の大半を占める高齢者層(50才以上)では
ワクチン未接種の感染者の死亡率は5.6%
2回接種の人の死亡率1.64%
(※1回接種の人の死亡率を知りたいところ。)

➂50歳以上ではワクチン未接種者の死亡率は、2回接種の人の死亡率を上回っているのに
なぜ全年代においては、2回接種の感染者の方が、未接種の感染者より死亡率が高かったのか。

・若年者層(50才未満)においての未接種の感染者の死亡率(0.028%)と、2回接種の感染者の死亡率(0.026%)が拮抗している。

・若年者層の未接種の感染者数が圧倒的に多かったので、全体の未接種感染者の「分母」が大きくなり、死亡率が大幅に下げられた。
(※これは意味がわかりにくいが、死亡率が低く、ワクチン未接種の若年層の感染者が多かったため、ワクチン未接種者の死亡率を低くしたという意味だと思う。)


7⃣ワクチン接種者はワクチン未接種者より死に至りやすくなるかも?

記事にはこんなことも書いてある。

・ワクチンを打ってもコロナに感染することがある。
・2回接種してから感染すると、“ワクチンを3回接種した状態”に近くなる。
免疫機能が強化されている状態では、ワクチン接種2回目以上に、発熱など副反応のような症状が強く出るかもしれない。
・この傾向は、もともと免疫機能が充実している若者の方が顕著かもしれない。
・このようなケースでは、ワクチン未接種者よりも死に至りやすくなるケースがあるかもしれない。

※しかしこれはあくまで、そういう可能性があるというだけの話である。

①ワクチン未接種者・ワクチン接種者別に死亡率を出す。
⓶ワクチン接種開始前に比べて開始後の死者数は激減している。
➂ワクチン接種済の高齢者は死亡しやすい。

等を考慮すると、ワクチンは確実に効果があるといえる。
目の前の実数だけにとらわれて判断を誤まらないようにしたい。

新型コロナワクチン 有害事象が1週間以内に集中しているのはなぜ?

1⃣接種から亡くなるまでの日数?

https://www.news-postseven.com/archives/20210717_1675814.html/2

上記記事にいくつかのグラフが掲載されている。
その中に「接種から亡くなるまでの日数」というタイトルのグラフがある。
その死者数を書きだしてみる。

当日41
翌日108
二日75
三日52
四日42
五日29
六日30
七日25
八日から十四日合計84(1日平均だと12)
十五日以降合計49
不明19

2⃣「接種から有害事象(死亡)が報告されるまでの日数」というのが正しいのでは。

この記事は誤解を招く記事である。

グラフのタイトルは「接種から亡くなるまでの日数」となっているが、
この死亡者は有害事象の死亡者数であって、ワクチン接種によってなくなった人の数ではない。
有害事象として報告された死亡者数である。
これらの有害事象による死亡例を調査した結果、ワクチンとの因果関係が認められたものは現在0である。

有害事象・・・ワクチンを打ったあとに起きた、あらゆる好ましくない事象や症状
       雷に打たれる、溺死なども有害事象
       予防接種法により、有害事象は全て厚生労働省が集計している。
       『ワクチンと無関係』と思えても、ワクチンの影響である可能性は、0とは言い切れないので、記録を残す。
副反応・・・・有害事象のうち『ワクチンとの因果関係が明確なもの』のみ。

参照/ワクチン接種で196人死亡したというのは正しいのか?・・・まちがいです。


3⃣ワクチンを接種しなくても毎年大製の人が亡くなっている。

2020年日本で死亡した人は約139万人だった。
ワクチンの接種が始まったのは2021年2月17日で半年が経過し、ワクチン接種人数は人口の約50%に達した。

ワクチン接種期間、ワクチン接種人数を計算すると、
139万人÷2(半年)÷2(人口)=34.75万人の人がなくなっている、という計算になると思う。
(計算苦手なので、間違っていたら指摘してくださいw)

ワクチンを接種しなくても、そのくらいの人がなくなっているのだ。



4⃣ワクチン接種後1週間の死亡者が飛び抜けて多い。

「でも、ワクチン接種後1週間の死亡者が飛び抜けて多いのは、やはりワクチンが原因で亡くなった人が多いのではないか」という意見があった。

もう一度、グラフの数字を見てみよう。

当日41
翌日108
二日75
三日52
四日42
五日29
六日30
七日25
八日から十四日合計84(1日平均だと12)
十五日以降合計49
不明19


確かに1週間以内の有害事象報告例が多い。



5⃣週間以内の有害事象の報告が多いのは、ワクチンを打ったばかりなので、報告数が増えているのでは?


あるサイトの説明に次のようにあった。

「ワクチン接種後の有害事象として厚労省に報告するかどうかは医師の判断に任されている。」

先ほど、私は次のように書いた。

「ワクチン接種期間、ワクチン接種人数を計算すると、
139万人÷2(半年)÷2(人口)=34.75万人の人がなくなっている、という計算になる。
ワクチンを接種しなくても、そのくらいの人がなくなっているのだ。」

と。

それに比べて、有害事象が1000件程度というのは少なすぎる。
おそらく、ワクチンと無関係と思われる多くの死亡例は有害事象として報告されていないのだろう。

そして、1週間以内の有害事象の報告が多いのは、ワクチンを打ったばかりなので、その関連性が疑う医師が多いということではないだろうか。






キャリーマリス、「PCR検査は感染症の診断に適さない」と発言?(していないと思います。)


1⃣キャリー・マリス博士「PCRによって少数の微粒子が身体の中に1つあると検出されただけで意味をなすと主張するなら、それはPCRの誤用」と明言。

以前の記事 WeRiseの主張はまちがいだらけ。 にも書いたのだが
WeRiseという団体が、WeRise提言という文書の中で、次のように書いている。

PCRが見ているのは、ウイルスの塩基配列の「300分の1」と言われており、残りの「300分の299」が別のウイルスだったとしても「コロナ陽性」にされてしまう。またRNAウイルスであるコロナウイルスは速いスピードで変異するため、現在「コロナウイルス」と認識されているものは、武漢肺炎の遺伝子とは別のものに変異している可能性が高く、何を見ているのか分からない。
開発者キャリー・マリス博士自身も「PCRによって極めて少数の微粒子が身体の中に1つあると検出されただけで意味をなすと主張するなら、それはPCRの誤用」と明言している。
現在の「無症状者をPCR検査にかける」手法は「無実の民から犯罪者を生み出す冤罪」に等しい。
さらに根本的なことを言えば、武漢肺炎の患者(たった1名!)から取り出された肺の混合液から検出された遺伝子物質が「病原性ウイルス」であるという証拠はどこにもない。
11月11日、ポルトガル裁判所は世界に先がけ、PCR検査は信用できず強制隔離は違法であるという判決を下した。

http://www.werise.tokyo/declaration/ より引用



2⃣ウイルスの塩基配列の「300分の1」だけ見ても、ウィルスは特定できる。

https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/pcr-basic3/

上記記事に次のように記されている。

プライマーは20-25塩基程度で短い配列だが、プライマー配列に無駄な部分はない。
3’末端側の約8塩基・・・酵素が結合して伸長反応をプロモートする領域(最も特異性が要求される)
残りの5’末端側領域・・・領域はプライマー自身のTm値と特異性を高める領域
              長さを調整したりすることでプライマー全体としてのTm値を調整できる。
                                           プライマー自身の特異性も高めることができrる。
Tm値・・・融解温度。プライマーがターゲット配列と50%の割合で2本鎖を形成する温度

正直言って、何のことかよくわからないが、プライマーが20-25塩基で作られるという点に注意してほしい。
この20-25塩基が全体の300分の1しかないとWeRiseはいっているのだ。

塩基はアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類である。
この4塩基を用いて25個をの配列をつくるとき(同じ塩基を何度もちいてもよい)、何通りの組み合わせができるかというと、4の25乗とおりである。
4の25乗=1.12589991 × 10の15乗とおり

20個の配列を作る場合は、4の20乗とおりとなる。
4の20乗=1 099 511 627 776(1兆995億1162万7776)

このように組み合わせの数は天文学的な数字となり、これに一致する常在ウィルスはまず見つからないのではないだろうか。

またプライマーはウィルスの特異的な部分を用いて作っていると思う。


3⃣「PCR開発者がウイルスの特定にふさわしくないと言っている」はファクトチェックでデマとされている。

「PCR開発者がウイルスの特定にふさわしくないと言っている」はファクトチェックでデマとされている。

1)「PCR開発者がウイルスの特定にふさわしくないと言っている」
日付 7/24
発信者 武田邦彦(工学者)
媒体  ネット番組
拡散数 YouTubeで70万回再生

内容
インターネット番組『真相深入り! 虎ノ門ニュース』での、「PCR法を開発したノーベル賞を取った人がウイルスの特定にはふさわしくないと言っている」とする発言。

【検証】「ウイルスの数の推定には適さない」を誤解か
新型コロナウイルス感染症の陽性確認にも使われているPCR法は生化学者キャリー・マリス氏(故人)によって開発され、マリス氏はこの功績から1993年にノーベル化学賞を受賞している。
その開発者自身が「ウイルスの特定にふさわしくない」などとPCR法の有効性を否定するような発言をしたとする主張は、この武田氏の発言以外にも以前からネット上に散見される。

しかし、マリス氏によるそのような発言は存在が確認できない。
海外では同様の主張で、米紙「New York Native」(1997年廃刊)の1996年の記事が根拠として挙げられているが、実際にはそこでマリス氏はPCR法について「その性質上、(ウイルスの)数を推定するのには適していない」と述べているに過ぎない。

https://fij.info/archives/7796 より引用

「ファクトチェックの記事が正しいと証明できるのか」という反論をよくもらう。
しかし、武田氏はマリスがどこで「PCR開発者がウイルスの特定にふさわしくないと言っている」のかを言うべきだった。
私はよく武田氏のYouTube動画を聞いているが、彼はソースを示さないことが多い。
ソースを示さない発言は疑ってかかるべきだ。

4⃣マリスは「PCR検査でHIVや新型コロナ・ウィルスの存在が確認されたとしても、それが感染を証明するものではない」と発言した。

ネットにこういう記事もあった。

PCR検査の開発者キャリー・マリス氏が生前「PCR検査は感染症検査に使用してはいけない」と言っている(リンクは本人の関連動画)のですが、現在、世界中で新コロの検査に使用されているのはなぜでしょうか?

Youji Hajime
, イギリス在住

フランス人の作成した画像なので注釈がフランス語で自分には意味不明ですが、キャリー・マリス氏の発言部分は英語ですのでその部分は理解できます。

まず、この映像を聞けばわかりますが、マリス氏はコロナ・ウィルスではなくHIV・エイズについて語っています。それと、その内容はPCR検査でHIVや新型コロナ・ウィルスの存在が確認されたとしても、それが感染を証明するものではないということで、この説明は正しいと思います。

基本的にPCR検査は特定のDNAを何百万倍や何億倍に増幅することで、その特定のDNAの存在を確定する検査です。ですので、例えばコロナ・ウィルスを非常に微量に鼻から吸引してそれが口や鼻の奥に付着している場合、PCR検査すればその存在が確認できますが、だからといって、そのウィルスが体内で増幅して感染症を起こしてCV19という病気に発展しているとは結論できないからです。

https://jp.quora.com/PCR%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%81%AE%E9%96%8B%E7%99%BA%E8%80%85%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%AA%E3%83%BC-%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%B9%E6%B0%8F%E3%81%8C%E7%94%9F%E5%89%8D-PCR%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%81%AF%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87
より引用

Youji Hajimeさんも、マリスの発言は
「PCR検査でHIVや新型コロナ・ウィルスの存在が確認されたとしても、それが感染を証明するものではない」
であって
「PCR検査は感染症検査に使用してはいけない」ではないといっている。

この方の説明は、WeRiseの
「PCRによって少数の微粒子が身体の中に1つあると検出されただけで意味をなすと主張するなら、それはPCRの誤用」とマリスは発言した、というのとほぼ同じ意味である。


5⃣コロナのPCR検査は粘膜面の上皮細胞を採取している。 唾液・粘膜からの分泌液にはRNA分解酵素が多量に含まれている。

同じ記事内の池上 良さんの回答を要約する。

①マリス氏が開発した当初のPCR法と現在のPCR法では、その精度が天と地ほど違う。
⓶(1)常温での増幅「マリスが開発)
(2)耐熱性DNA合成酵素の発見による高温での増幅
(3)ホットスタートによる常温での反応の排除
(4)プローブの併用による特異性の担保
とPCR検査は進化してきた。特に(2)での増幅効率と精度の向上が著しかった。

現在ではPCRによって検出、増幅された遺伝子が「標的(例えばHIVとかコロナとか)の遺伝子ではないかもしれない」という可能性はほぼ排除できている。

④ウイルスの体内での動態がマリス氏の時代とは比較にならないほど詳しく分かってきている。
(PCR法のおかげで詳しく調べることが可能になった)

マリス氏は「HIVはエイズの原因ではない」という立場をとっていたがエイズの病態が詳しく分かってきた現在では極めて分が悪い。

⑤コロナのような呼吸器感染症の検査は「粘膜の表面に付着したウイルス」を検出しようとしているのではない。
検体採取の際にはかなり強く粘膜面を綿棒でこそぐように採材します
粘膜面の上皮細胞を採取している。

細胞内には、感染していればウイルスの遺伝子が何万以上のオーダーで存在する。

同時に細胞表面にも何万以上のウイルス粒子が付着しているが、これらは「外からやってきて今から感染しようと細胞に付着したウイルス粒子」ではなく、「細胞内で増殖し、今まさに細胞から放出されるウイルス粒子」です。

そりゃ前者の粒子もあるでしょうけど、数的確率的には何億対1くらいのオッズで前者。

⑥「感染が成立しなかった人で、ウイルスの暴露を受けて鼻腔粘膜にウイルスが付着した状態」を、PCRで検出してしまうリスクは理論的にはあり得る。

ただ、ウイルスが細胞に付着してから細胞内に侵入する=感染が成立するまでの時間はおおよそ30分以内と言われる。
感染できなかったウイルス粒子は、速やかに破壊され、遺伝子も分解される。
唾液にも粘膜からの分泌液にも汗にも、RNA分解酵素が多量に含まれている。

「感染が成立せず、単に粘膜に付着しているウイルス粒子」などというものを検出してしまう確率は、極めて低い。

採材者が実は感染者だった、というような場合はそのようなことが起きる確率はそれなりに上がるでしょうが(そのような事例を経験したことがあります)、普通はそのようなことが起きる確率はほぼゼロに近い。

というわけで、もちろん初期に十分な基礎研究(患者と病原体の関係性について)を経た上で、というのは大前提ですが、PCRを感染症の診断に用いることについて、現在は何の問題もない。


6⃣PCRは、物質を定性的に特定することを目的としているが、その性質上、数の推定には適していない。

同記事、米田 健さんが回答に、米紙「New York Native」の1996年の記事のリンクを貼ってくださっていた。

ただし、マリスが書いたものではなくジョン・ローリッツェンが書いた文章の中にマリスの言葉の引用がでてきている。

PCRの発明でノーベル科学賞を受賞したKaryMullisは、HIVが「エイズ」の原因ではないことを完全に確信しています。
ウイルスを数えるためにPCRを使用しようとするウイルス量テストに関して、Mullisは次のように述べています。
「定量的PCRは撞着語です。」
PCRは、物質を定性的に特定することを目的としていますが、その性質上、数の推定には適していません。
ウイルス量テストは実際に血液中のウイルスの数を数えるという一般的な誤解がありますが、
これらのテストでは遊離の感染性ウイルスをまったく検出できません。
彼らは、場合によっては間違って、HIVに特有であると信じられているタンパク質しか検出できません。
このテストでは、ウイルスの遺伝子配列を検出できますが、ウイルス自体は検出できません。

PCRが行うことは、遺伝子配列を選択し、それを大幅に増幅することです。
干し草の山から針を見つけるのと同じことを達成できます。
それはその針を干し草の山に増幅することができます。
電子増幅アンテナのように、PCRは信号を大幅に増幅しますが、ノイズも大幅に増幅します。
増幅は指数関数的であるため、測定のわずかな誤差、わずかな汚染により、数桁の誤差が生じる可能性があります。

例えれば、ウイルス量テストを使用してウイルス活動を測定することは、いくつかの爪の切り抜きを見つけるようなものです。
爪の切り抜きを他のがらくたと混ざった小さな山の爪の切り抜きに増幅する。
そして、「専門家」がやって来て、その山を、完全に武装して戦闘の準備ができている兵士の小隊を表すものとして解釈します。

要するに、ウイルス量テストは詐欺です。
分子生物学者のPeterDuesbergとHarveyBialyが、ウイルス量のバンドワゴン全体を発表した1995年のHoとWeiの論文(Nature 373)を分析したところ、遊離ウイルスの推定値が数桁過大評価されていたことがわかりました。
魏の研究では、100,000のいわゆる「血漿ウイルスRNA」ユニットは、実際には血漿1ミリリットルあたり2未満の感染性ウイルスに相当しました。
また、Hoの研究では、10,000個の「血漿ビリオン」が1個未満の感染性ウイルスに対応していました。
DuesbergとBialyは、「Wei etal。とHoetal。の患者に感染性ウイルスの証拠はない」と結論付けました。
(Duesberg 1996a)

,http://www.virusmyth.org/aids/hiv/jlprotease.htm
より引用


7⃣PCRでは安全ラインの判断ができない。ウィルスがあるかないかだけ。だからマリスは慎重にやるべき、と警告した。

「New York Native」の記事は読んでも難しくて理解できないが、米田 健さんが解説してくださっている。

①ジョン・ローリッツェンが1996年にHIVとエイズ診断に関して話したもの。
当時はウイルスの直接な信号なのか痕跡の信号なのかが議論されており、ローリッツェンやマリスはPCRはこの用途で使えないと考えていた。

⓶PCRの仕組み

非ウイルス型の病気、微生物の病原体なら培養して増やしたり、顕微鏡で目視が出来る。
培養は病原体の数、顕微鏡は像の増幅を行う。
ウイルスはとても小さいので、顕微鏡で目視でず、微生物でもないのでウイルス単体で培養もできない。
PCRは遺伝子の増幅技法。遺伝子の分子を複製することで分析しやすくする。

③ジョン・ローリッツェンの懸念はPCR増幅は定性的であり定量分析ではないこと。
信号増幅で判別できるのは「ある or ない」であり、「沢山 or 少ない」は判断ができない。

④ジョン・ローリッツェンとムリス博士の主張は、まだHIVがエイズの原因になる仕組みも分からないのに、HIVを検出するだけでエイズと決めつけるのはやりすぎというもの。

⑤HIVが病気を引き起こすメカニズムの完全解明ができておらず、HIVによく似たウイルスの痕跡を増幅しているかもしれない。

⑥HIVとエイズにおいてPCRで判明するのは定性的にHIVの痕跡「ある or ない」。
理論上はHIVが体内にあっても悪さができない「安全ライン」が存在するはず。
もしかしたら、安全ライン以下のウイルス量かもしれない。

⑦HIVはエイズの原因であるということは完全証明を持ち研究論文は撤回された。

⑧現代のPCRの使い方と対策
当時と比べてウイルスの解析とデータ化を遥か高速に行うことが可能になった。
早期にウイルスの遺伝子を完全に解析できる。
構造解析や物理シミュレーションにより、いくつもの信号候補から絞り込みをかけて、信頼性が高いSARS-CoV-2のみを検出する信号のパターンを定義した。

⑨HIVには10年かかっていたのが、数週間でできるようになった。

⑩PCRをウイルスの定量分析を元にした診断に使っていない。
ウイルスの数が一定以上あったら感染源になる危険がある。
ということは理論上ウイルスがあってもうつさない安全ラインがある。
ウイルスが体内にあるけど、感染源になれないくらいに少ない領域の可能性がある。
PCRでは安全ラインの判断ができない。
ウイルスの量判定する技法じゃないので判別がつかない。
そもそも定量分析ができないと安全ライン、ウイルスの減り方もわからない。
わかるのは「ある or ない」だけ。

⑪安全策は検出できなくなるまで一定期間の経過観察や隔離をすること。
患者多数の検出できなくなるまでの期間というデータの平均値にプラスアルファすれば安全になるまでの隔離期間の根拠が定性分析から作れる。

⑫1996年の警告対象エイズの安全策は二週間の隔離ではない。
一生二度とセックスしないこと、不治の病を抱えて死ぬこと。
だからこそ恐怖を煽らぬように慎重にしろとマリス等は警告した。




ワクチン嫌、マスク嫌で新型コロナを5類に、はダメ

1⃣2類相当解除、マスク不要、ワクチン危険と煽るwerise

weriseという団体が次のような提言を行っている。

1. 私たちは、政府に対して一刻も早い指定感染症(2類相当)の解除を求めます
2.私たちは、PCR検査による陽性者認定を即刻停止するよう求めます
3.私たちは、感染予防対策としてのマスク着用の推奨を停止することを求めます
4.私たちは政府・自治体に対して、感染予防の名の下に行われる施策の一切に対 し、その根拠となる科学的なデータを明確に示すことを求めます
5.私たちはメディアに対し、感染者数の発表を停止するよう求めます

https://news.yahoo.co.jp/articles/a593d8c23decfe0fcffb5a6829f4612e6ba44805 より引用

また新型コロナのワクチンについても懐疑的である。

副反応の危険性の高いワクチン接種は、問題の解決にならないどころか、重大な疾患を背負い込み、新型コロナによる死亡リスク以上の危険に身をさらすことになるかもしれない・・・・


2⃣マスクの穴がウィルスより大きくても、ウィルス捕獲効果がある理由

weriseが言っていることはほとんど間違いである。

新型コロナウィルスは主に飛沫感染と言われており、飛沫感染を防ぐにはマスクが効果的だと考えられている。

不織布マスクのフィルターを1万倍にした模型に、ウイルス1万倍とほぼ同じ大きさのごま粒を近づけてみると・・・、スカスカ!!

これでは、ウイルスが素通りし放題では?と思われますが、厚みがあるフィルターを通過するうちにウイルスを捕まえてくれる仕組みになっています。

マスクが0.1マイクロメートルという細かい粒子を捕集するのは、物が何かにぶつかったときにくっつく分子間力(ぶんしかんりょく)という性質を利用しているからです。フィルターに侵入したウイルスは、厚みがあるフィルターのどこかにぶつかって捕集されます。

多くのマスクは、ウイルス飛沫(ひまつ)のカット率表記をしていますが、最近の不織布マスクは高性能なものが多いため、ウイルス程度の粒子でもかなりの効果があるといいます。

https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1167.html より引用

ワクチンの副反応についてはこちらの記事を参照してほしい。
河野大臣、「ワクチンのデマ」について語る。


3⃣シンガポールはなぜ新型コロナを「はやり風邪」の扱いとしたのか。

シンガポールは新型コロナをインフルエンザ相当の扱いにした。
日本も新型コロナをインフルエンザと同じ5類にするべきである。
という人がいる。

そこでググってみると、次の記事が見つかった。

「シンガポールはコロナを「はやり風邪」の扱いに…方針転換の根拠はイスラエルのデータ」ヤフーニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/a593d8c23decfe0fcffb5a6829f4612e6ba44805

①シンガポール政府は6月下旬に「感染者数の集計をせずに重症患者の治療に集中する」と宣言。
新型コロナウイルスを季節性インフルエンザのように管理する戦略に切り替えた。

⓶シンガポール政府の方針転換の根拠になったのはイスラエルのデータ。↓
ワクチン接種完了者が感染する確率は未接種者の30分の1、重症化は10分の1
2020年新型コロナウイルスの致死率は2~3%
ワクチン接種完了者の致死率は0.3%まで低下。
季節性インフルエンザの致死率(0.1%未満)と大きな差はない。

③ 日本でも「重症数を基準にした対策に切り替えるべきではないか」との意見あり。

④社会心理学の分野で人々のリスク認知に関する研究
「危険は実在するが、リスクは社会的に構成される」
毎年犠牲者を出しているのに軽視されるリスク(自動車事故など)がある一方、犠牲者の多寡にかかわらず、心理的に受け入れがたいリスクがある。
新しく出現した感染症はその典型例。

⑤新型コロナウイルスを脅威と感じている高齢者に対して、政府は「ワクチンを打てばコロナ禍以前の日常生活に戻ることができる」と推奨すべき。

⑥「自らがワクチンを接種することで社会全体が元に戻ることができる」という「明るい展望」を語れば、ワクチン接種に消極的な若者の考え方も変えることができるだろう。

⑦変異株の危険性が喧伝されているが、米国疾病予防管理センター(CDC)は「ワクチンと控えめなマスクの着用を組み合わせるだけで変異株の感染拡大を防ぐことができる」と主張している。

つまり、新型コロナを5類にするためには、ワクチン接種率+マスク着用が必要で
ワクチンとマスク拒否していては、新型コロナを5類にするのは難しいということである。

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